2017年9月 東北産地研修旅行 報告
 
みちのくゴーダチーズの全酪連、雑穀の山の幸、大潟村ライスロッヂ黒瀬農舎の田んぼ見学のほか、ジャージー牛専門の牧場と奥中山高原乳業メーカーの工場見学と、盛りだくさんの東北産地研修の旅。
白神山地十二湖周辺散策や五所川原の立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)会館見学、ご当地のショッピングも楽しんできました。       (参加者16名)

 岩手秋田・東北産地研修会報告

         ▲岩手県全酪連二戸工場前で・参加者一同と工場関係者
>参加の皆さんの感想 1日目>2日目 、>3日目 
>1日目 山の幸(雑穀)
>2日目 研修報告 全酪二戸工場 米生産者交流会  
>3日目 研修報告  大潟村田ポ見学   
【日 程】2017年9月11日〜13日
 ▼研修コースマップ
東北マップ
【1日目行程】
県営名古屋空港(小牧)→花巻空港→松川牧場(二戸)→奥中山高原農協乳業→山の幸→南部美人酒店→二戸パークホテル(泊)
松川牧場
▲松川牧場の牛舎の前で

▼まだ子どものジャージー牛
ジャージャー牛

ジャージー
▲ジャージー牛と牧場主の松川さん

【松川牧場(ジャージー牛ばかりの牧場)の松川さん】
 私自身は今風にいえば新規就農者で、仙台から二戸に来て45年位になります。もともとは、学生時代に夏休みを利用して農家の手伝いに来ていたところ、ある農家から「後継者がいないのでやってみないか?」と言われ、大学(建築科)を中退し酪農家の仕事として始めました。5年位経った時に、オーナーから経営を任されました。
 最初はホルスタインでしたが、カナダへ研修に行ってジャージーを見て回った時、仲間で、ジャージー飼いたいという事になり、導入しました。ホルスタインとジャージーと一緒だと大きさや気性の違い、牛舎などいろいろ不都合が出てきて、思い切ってジャージーだけに変えたんです。今親牛で大体140頭、育成牛(仔牛)が80頭位います。
 ジャージーの特徴としては、乳成分が非常に高い事です。体が小さい分、乳量は相当少なくて、ホルスタインで8千〜9千kg/年の所、ジャージーは6.5千kg/年です。ホルスタインは乳量を出すから寿命が短くて、2〜3産いかないですが、ジャージーは長生きですよ。 
 ジャージーは、かわいいですね。それと、飼いやすい。おとなしい性格で病気にも強い。 我々の世界はみんな牛好きですから、いい牛を作るのが楽しみです。

【奥中山高原乳業】 工場長の中谷さんのお話

 工場のラインは夜の0時から操業、朝の7時には終業しているので、日中は機械は止まっています。
 奥中山高原乳業は、平成11年に酪農家たちが生産した生乳を奥中山のブランドで売りたいという気持ちでスタートしました。日量、生乳70トン近くになっています。当時酪農家が70戸近くありましたが、現在は40戸ほどです。
 特色はジャージー種で、牛乳がメインですがヨーグルト、アイスクリームも作っていて、主に関東圏へ出荷しています。
 低温殺菌牛乳やNON‐GMの飼料は、私共から提案して作りましたが、地域には理解がなくて、関東の生協向けです。
▼奥中山高原乳業工場見学
奥中山高原1
奥中山高原2
▲ジャージー乳製品について
説明する工場長さん

【山の幸(地域物産のお店)】東山さんのお話

 地元のあわ、きみ、ひえなどの雑穀をはじめ、みず、わらびなどの山菜や野菜類、山ぶどう、黄玉(りんご)などの果物と、地元ならではの産物を集めています。

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雑穀を使ったぜんざいや、この地方独特の「みず」の漬物、雑穀もち、りんごなどいっぱいお土産の数々、お腹いっぱいおもてなしいただきました。
山の幸
▲「山の幸」店の前で
雑穀
▲店頭に並んだ雑穀他の品々
ぜんざい
おもてなしのぜんざい
みそもち
▲みそ餅と漬物
未来ネット 取扱い物品 麦・雑穀
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【参加の皆さんからの感想です  (1日目)
【松川牧場】  珍しいジャージー牛だけの酪農家を訪問。ホルスタインより小柄で大きな瞳が可愛らしい仔牛が印象的でした。     (豊明市・Hさん) ジャージー牛をわが子のように慈しんで育てている牧場主さんの穏やかな表情が印象に残りました。
       (豊明市 Hさん)
好奇心いっぱいの牛さんは見慣れない見学者を気にして、柵の近くまで近寄ってきたり、帰りかけると「モー帰っちゃうの〜」と啼く可愛い牛さんたちでした。
        (蒲郡市 Tさん)
【奥中山高原乳業】
0時出勤して、その日の日付の牛乳が生産されており、夜勤されている現実を知りました。
      (名古屋市千種区 Nさん)
乳業工場が自ら率先して低温殺菌牛乳やNON-GM飼料の牛乳に取組んだのは聞いた事がなかったので意識の高さに感銘しました。
       (知多郡 Mさん)
岩手県北部の周辺で無農薬の雑穀を作ってもらっています。収穫後で畑見学ができず、残念でした。
       (東岩倉市 Sさん)
【山の幸】
果物や野菜も思わず購入しました。
       (豊明市 Hさん)
手作りの雑穀のお団子入りぜんざい、みそもちをおいしく頂きました。珍しいミズの実も試食しました。おいしかったです。
       (名古屋市千種区 Nさん)
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【2日目行程】
ホテル(二戸)→全酪連北福岡工場(ゴーダチーズ製造工程)  

【全酪連北福岡工場】 木元工場長さんのお話

 遠くからおいで頂き感謝申し上げます。
 当工場は1962年現在地に移転し、脱脂粉乳を製造、1971年ゴーダチーズの製造設備を導入しました。
 市乳工場は、18年前に、先ほど見学してこられた奥中山高原農協乳業へ設備を移管しています。
 ゴーダチーズの工程は、手作りに近いような古い設備で、製造は月に1回です。
 工程は流れ作業でダーッと進んでしまいますので、早速準備して入ってもらいます。
▼全酪連二戸工場工場見学
全酪連1
全酪連2

説明を聞く参加者の皆さん

【全酪連北福岡工場】 竹林製造課長さんのお話

 すでに原料乳は成分を一定にするために乳脂肪を2.8〜3%に調整し、78℃15秒間で殺菌してスターターを添加してあります。タンクから10tのバットに移し、レンネットを入れます。
 乳が固まってきたらピアノ線を細かく張った裁断機で細かいカードにします。カードとホエー液に分離が始まるとホエーの排出を始め、カードをシンクに移します。
【ゴーダチーズ作り工程】
@成分調整し殺菌した乳を10tバットに移す。
Aレンネットを添加し、攪拌する 。
B乳が固まってきたら(カードの形成)、ピアノ線を張った裁断機で細かくカッティングする 。
Cカードとホエーが分離し、ホエーの排出を始める。
Dホエーを排出しながらカードをシンクに移す。
E上から圧力をかけ、更にホエーを排出する 。
Fカードを70等分に切断する。
Gカードを型に詰め、約5時間プレスする。(時間の関係で、見学は型詰め迄で終了)
H翌朝まで冷却水に漬けて冷やす。
I2日間、塩水に漬けて塩分を含ませる 。
J低温の熟成庫で反転しながら熟成させる。
K3ケ月熟成させて、カッティングする
見学準備
▲工場に入る前準備
チーズ製造見学
▲チーズ作り工程を見学

未来ネット 取扱い物品 みちのくゴーダチーズ

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【参加の皆さんからの感想です  (2日目)
製品に雑菌が入っては大変ですので、ガラス越しの見学ですが見学者も白衣に帽子、靴カバーをして、手洗い、埃取り、エアーシャワーを通って清潔を保ちます。    (蒲郡市 Tさん) 手間のかかる重労働を無駄のない手際良い作業でこなしておられ、感心しました。大量の牛乳からできるチーズは10分の1以下700kgなんですね。
       (豊明市 Hさん)
チームワークよく作業する姿が快かったです。重労働で大変ですが・・・。
       (豊明市 Mさん)
工場内は安全清潔第一で、機械と手仕事でチーズが作られていました。
チーズを食べる時、あの光景を思い出します。      (碧南市 Nさん)
暑い工場の中、重労働のお仕事でチーズが形になった時には感激しました。このご苦労を思ったら、心して食べなければいけないと思いました。
   (名古屋市千種区 Fさん)
清潔な環境で心を込めて丁寧にチーズを作っていらっしゃる姿を見て、おいしさのわけがよく分かりました。
       (名古屋市千種区 Tさん)

【ライスロッヂ大型 黒瀬農舎で生産者・消費者交流会

 2日目の夜は、大潟村の生産者と交流会。地元のこだわりのご馳走がいっぱい並ぶテーブルを囲んで、それぞれの思いを語り合いました。
秋田1
▲ 乾杯の音頭をとる黒瀬正さん 

   テーブルに並ぶご馳走 ▼
ご馳走
郷土料理の「みず」⇒ みず
黒瀬
▲農業を熱く語る黒瀬さん
【黒瀬正さんのお話】
5次の入植、出身地は滋賀県です。
皆さんはエシカル(環境保全・社会貢献)な消費者行動というやつですね。以前は『道徳的に何を生産して頂くのを応援しようか』という思想なんて、そんな事を思ってもらわなくてもどんどん売れると思ったんだけど、そのベースがなければ育たない。皆さんに「環境にいい」「安全だ」という食品を選んで頂くだけで、生産基盤が出来ていくという事がひしひしと分かる。
これからもうちの米だけでなく、農業や酪農の応援をよろしくお願いします。
【安倍さんのお話】
父が1次入植、出身地は秋田県です。
特に古代米でお世話になっています。
古代米100%のおはぎとか、古代米の玄米餅をワッフルメーカーで焼いて食べる「モッフル」も考案。お汁粉の逆バージョンで白小豆の中に玄米餅を入れるとか。古代米で甘酒を作るなど、あれこれ工夫を提案しています。
食生活や人生をよりうるおいのあるものにしてもらえば生産者冥利に尽きるなーと思います。
安倍
黒米生産者の阿部淳さん
喜多
▲内助の功 喜多さん
【黒瀬喜多さんのお話】
正の妻です。こういう形で消費者の皆さんと交流する場面がずっと続いています。
73歳になりましたが、たまたま、息子が百姓を継いでくれたので一線を退いてもいいかなと思ながら、こういう交流は楽しいので黒瀬家の一員として、はみ出ない様にやっていけばいいかなと思っています。
今の生活を楽しんでいます。
【黒瀬友基さんのお話】
今週末で40歳になります。郷里に戻ってきて12年になります。子供が10歳の長男を頭に3人います。
うちの子が継ぐかどうかはわかりませんが、皆さんにもここに遊びに来て、田んぼも知って頂いて、長くこのような形の農業をやっていきたいと思っています。
今後も宜しくお願いします。
安倍
二代目の黒瀬友基さん

▲山本さん
【山本平男さんのお話】
5次入植、出身地は愛媛県。純粋な百姓です。
息子夫婦から戦力外通知を貰っているので、出しゃばらず草刈りとか、ふたつごとを専門にやらせてもらっています。(大笑)
【桑原秀夫さんのお話】
5次入植、出身地は高知県。84%が山で何とか楽をしたいと思って大潟村にきたんだけど、最近は、景気もさるところながら、米余りの時代で、有機栽培の稲作がどんどん減っています。残念な事ですが、加工米とか、飼料米とか所得を上げる為に手間や経費をかけない様、農薬をバンバンかける。収量を増やす為にたくさん肥料をやる。結果、稲が弱くなり虫が出て、さらにネオニコチノイド系の殺虫剤をかける。国の減反政策で安い米を作れば補助金が出ますよ、という負の部分が顕著にあらわれています。
桑原
桑原さん
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3日目 ライスロッヂ大潟村 見学
 3日目の朝は、黒瀬親子の案内で、農業機械や精米倉庫と、あきたこまちの田んぼ見学。稲刈り前の稲穂がきれいでした。有機栽培・GMフリーの看板も見せていただきました。
黒瀬農舎の精米施設
▼ 黒瀬さんの説明を聞く参加者のみなさん                      
米3  米1
                           ▲中古の機械を自分で組み立てたそうです。
選別機
▼選別機で、異物を取り除きます
米2
▲選別機で、異物を取り除きます

選別機はカメラで覗いていて、玄米が落ちてく途中に、小さい米や虫の食った米をはじくんです。 昔は選別率が悪かったが、今のは百発百中とまではいかないが、すごく助かっています。
稲刈りした稲を、田んぼから四トン車で持ってきて、上まで上げ、乾燥機で20時間ゆっくり乾かします。
籾貯蔵して、籾摺り器へ持ってくと、もみ殻を外して、風で飛ばします。

米の低温倉庫
秋だからいいけど、一体米を何℃に置いたらいいか、データがない。米が汗をかかないよう、外気温との差を加減するのが難しい。
上の大きなクーラーも自分で取り付けたんです。
    米4
日本一低い山です。ここは地盤が弱く、沈むので中は発砲スチロールです。頂上が日本海の海面と同じ海抜0m、秋田県測量士協会が作ったので絶対確実です。  ▼海抜0m 日本一低い山
米5
      【無農薬の田圃
          ▼ 稗取りにパートさん達が草取り 米6
ここからうちの無農薬の田んぼです。
稗が残っていて8月末から今も草取りのおばさんに入ってもらっています。
今年は6月の天候が悪く、稲が定着せず、ふらふらだったから除草機が入れられなかったんです。
カモも放せず、十分な働きがなかったので、いっぱい草が残ってしまいました。
最初の除草が微妙で、的確に小さい事を積み重ねて無農薬で出来るのであって、草が生えたら機械でたたけばいいとかいうのではないんです。元々草が生えないような状態をいかに作るか、どういう時にどういう処置するか、田んぼをいかに平らにして水の高さを一定にしとくか。水が浅ければ草が生える、高いところは稲が死ぬ、だから微妙にやらないかんということを積み重ねてやっと無農薬の除草対策ができるというものです。
カモを入れて6、7年たち、ほとんど手間をかけなくても楽にいけると思ったら、今年は最悪の年でした。 この田んぼ(GMO FREE ZONEの看板)が餅米の田んぼです。除草剤は一回だけ使ってますが、化学肥料も使っていません。除草剤を一回使っただけでまったく草がないでしょう。最近の威力はすごいんです。もちろん除草剤使いながらも草だらけの人もいっぱいいますけど、的確な水管理の問題です。
 ▼GMフリーの立て札
米8
 ▼重機の置き場所にも苦心する農機具小屋
米7
大潟は干拓地なので、土が羊羹状で田植え機がはまってしまい、15年前まで田植えをしてるより田植え機を引き上げてる時間の方が長かった。今も重い機械を同じ場所に置いておけません。
未来ネット 取扱い物品 米・古代米
                         ▲上に戻る
【参加の皆さんからの感想です  (2日目・3日目)
 この土地ならではのご苦労を聞き、ただただへえーっと驚くばかりでした。最新鋭のGPS搭載の農機具や米の選別機と旧来の除草のカモ、ネズミ退治の猫の良い所を柔軟に取り入れておられる事も感心しました。何より楽しいと言われておられたのに魅力を感じました。(西区 Sさん) 黒瀬農舎での生産者の方々との楽しい宴と打ち解けた語らいや初めて知った干拓地の湿地帯での稲作の苦労話、そのどれもが厳しい自然に向き合った苦労の連続の生産活動で、東北の人々の実直で飾らない真摯な人柄が、生産活動を支えてきたのだと思いました。
       (豊明市 Hさん)
倉庫や精米工場は驚きの連続でした。中古の精米機を組み合わせて実用に供する農家があるとは夢にも思いませんでした。 (岩倉市 Sさん)  黒瀬さんの農場の広さには驚きました。前夜の雨で近くの田圃の稲が倒れており、黒瀬さんの無農薬米と差が出ている事も分りました。
  (名豊明市 Mさん)
 稲刈り間近になっても人による草抜きをされているのを見、自然とのかかわりの大変さを改めて痛感しました。
     (名古屋市瑞穂区 Sさん)
東北の皆さまの飾り気ない、心暖まる、優しいお気持ちに触れて私の心に深く残る旅でした。
       (豊明市 Hさん)
手作りのミズの実や白菜・きゅうり・イカのサラダや日本酒も美味しく、お話もはずみました。田圃の苦労や工夫、手造りの倉庫のコスト削減の工夫と知恵を教えて頂きました。 (千種区 Nさん) 黒瀬さんの米への情熱は強く、いろいろな困難(米作りのみならず、減反政策への反対)を乗り越えてきた証が田圃にあると感じました。
次男の友基さんが戻って来られ、経営を引き継がれ、新しい取り組みをされていて、これからも食べ続けたいと思います。    (名古屋市瑞穂区 Sさん)
何といっても大潟村の生産者との会食は楽しかった。何でも自分でやってしまう、まさに『百姓』としての黒瀬さんのスタイルは、豪快な笑い声と相まって強烈に印象に残っています。(岩倉市 Sさん) 自然の大切さ、自分の置かれている環境が巡り巡って自分の元に帰っている事を感じました。
       (碧南市 Nさん)
自然相手の生産現場のご苦労は大変。今年の収量は良好との予想。干拓地特有の過去のエピソードなど、生産者さんからのお話を楽しく聞きました。
       (蒲郡市 Tさん)
奥さまやお仲間も含め、地に足をつけて生産していらっしゃると感じました。夕食もオーガニック等、こだわりの食材を使ってあり、とてもありがたく思いました。生産者の方々の顔を見て、話をし触れあう大切さを感じました。
       (豊明市 Mさん)
【事件発生!!】大潟富士に熊出没!!
友基さんは猟友会役員なので、「明朝、集合令がかかっています。猟銃は撃った事ないのに…」とやや不安気な様子。
*熊はその日は見つからず、後日捕まったそうです。
【参加の皆さんからの感想です  (3日目)
米7 米7
 以前から行きたかった白神山地・十二湖も訪れ、神秘的な青池を見、木漏れ日の中の天然ブナ林を歩いて、気分もリフレッシュしました。
       (豊明市 Hさん)
立佞武多は迫力あって圧巻でした!
       (知多郡 Mさん)

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