2019年7月2日〜5日 北海道最北端産地研修旅行 報告

 日本最北端の宗谷・利尻島・礼文島・中頓別へ!
北海道の海産物、きれいな野草の花たちを楽しんできました。
(参加者13名)

 利尻礼文産地研修会報告
▲参加者一同 最北端の宗谷岬で
【日 程】2019年7月2日(火)〜5日(金)     
7月2日 工程】 
中部国際空港 → 新千歳空港 → 稚内空港  →  宗谷岬 →  稚内港  →  利尻島  →  ホテル利尻
 宗谷流氷
宗谷岬 流氷館
【北海道最北端の地をたずねて】

【参加者の皆さんの感想】 
北海道は幾度となく訪れましたが、ベストシーズンの利尻礼文への旅は長年の夢でした。今回夢が叶い、出発までの日々、いろいろ想像し、楽しい時間を過ごしました。小雨の中、早朝、名古屋を出発し、到着した稚内も雨でした。
宗谷岬で間宮林蔵樺太探検出港の地を見、宗谷岬のメロディーを聞き、日本の最北端にいる事を実感できました。
おいしい昼に舌鼓を打ち、北防波堤ドームを見学、古式ローマ彫刻のようなムードある建物でした。稚内港まで歩く中、ハマナス等、可愛い花々を楽しみ、いよいよ利尻の地に立ちました。(KT)
今回の旅には初夏を迎えようとする利尻島・礼文島が目的地に含まれており、産地研修とともに周辺への散策を楽しみに参加しました。この時期の北海道は本州・四国・九州とは異なり、梅雨前線の影響もなく、爽やかな晴天を期待しておりました。稚内空港に降り立つとその期待も裏切られ、空は厚い雲に覆われ、地平線は霧で靄っており視界不良の状態でした。何でも最近は北海道(蝦夷)梅雨とでも呼ぶ気象状況が観察されるとのことです。
先ずはタクシーに乗車、宗谷岬を目指しました。この付近は強風の日が多いようで途中の海岸線の丘には多数の風力発電施設が並んで立つ景色があるはずですが、全く見えません。宗谷岬に着き、売店内にある流氷の記念館に入りましたが、室内には大きな流氷の固まりが展示してあり、あまりの寒さに長居は出来ず、早々に退室しました。
霧に靄る最北端の岬での流氷の身に沁む寒気、ここで生活する人たちが、毎年経験する自然の厳しい現実を考えさせられました。(NH)
日本最北の街稚内と利尻島・礼文島にず〜っと憧れていました。さだまさしの名古屋コンサートのチケットをお世話になっている先輩に差し上げ、この研修旅行に参加致しました。(SN
日本最北端の地、宗谷岬は冷たい風と霧雨でした。稚内港付近で昼食を取り、出航までの時間は雨の中、荷物を引きずりながら観光でしたが皆さん雨にも負けていません。
その間フェリー乗り場は欠航となった利尻直行便から振替えた団体客が殺到して想定外の大混雑!全員乗れるの?先に集合した方は場所取りに並んでもらい、一人でも乗り遅れたら…と、ハラハラの幕開けとなりました。すし詰めでも全員乗れて安堵!(KM)
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7月3日 工程】 
利尻漁港仙法志支所・漁協直売所 → オタトマリ沼 → 姫沼 → 鴛泊港 → 礼文島 → ホテル礼文
【利尻漁港仙法志支所 畠山裕一さんのお話】
 仙法志集合
畠山裕一さん(中央)を囲んで
今年は海藻類が全国的に大不漁で絶対量が少ないが、昆布は2年3年寝かせるので、昆布は大丈夫です。天然昆布の漁は7月20日から解禁です。
うちもワカメが皆無と言っていい程採れず、未来ネットの供給も年間これくらいという計画を立てて貰わないと無いです。ワカメの在庫は、添加物を入れないものはあまり長く持ちません。添加物を入れないで作るのは可能ですが、小さな工場で、二人で作っているので、分けるのも大変です。(利尻漁協ではワカメの組織をしっかり保つ為添加物を加えるが、未来ネットは無添加にしてもらっている)
ワカメの収穫は4月から5月です。ある程度確保しましたが、コープさっぽろは全て断った位、こんな不漁は初めてです。
天然の昆布は、7月20日から8月いっぱいかけ、根っこが岩についているから、舟に乗って箱メガネのようなもので、2年目のものを選んで取ります。養殖の昆布は種を買って、ロープに付着させ、1キロくらい離れた沖の海面に張って、三陸のワカメのようにロープごと引き上げます。養殖は天気が良く、波がないなら引き上げるだけで安定商売です。
天然の昆布は、だしが澄んでいる。まろやかで食べたら、わかります。養殖の昆布はだしが濁るし、繊維質でぼそぼそしています。見た目は天然に比べて立派です。天然昆布は2年ごとに豊漁があります。昆布は賞味期限はあってもないようなもので、保存法さえ良ければ、寝かせれば寝かせるほど味も上がります。一般の家の中での長期保存は冷凍が一番良く、湿度の管理が一番重要です。
今若い者はいなくて仙法志でも10年もたつと取る人は無くなるんじゃないかと心配です。漁師が少なくなればウニも取れません。稚内や宗谷、礼文で採取しても利尻昆布です。明確な基準は無く、見るんだったら天然という表記より、産地を見た方が良いと思います。
だし昆布は表面ににがりのような成分が付いていて、干している時に何が付いているか分からないので洗います(一同「えー!」)。
関西の方は出し殻を食べるとか言いますけれど、私等は捨てます (一同「えー!」) 。 食べる昆布は早煮昆布です。
 昆布は上の方から枯れて行って、栄養は根の方にだんだん寄っていきます。だから『根昆布』は栄養があります。昆布は2年たってないと取ってはいけません。ある程度成長すると枯れます。昆布が枯れると白くなっていきます。明るい茶色というか、だんだん根っこの方に養分がいっちゃう。長さが短くなっていく代わりに厚くなります。だから終盤の昆布は分厚いので等級は下がります。でも味は一緒です。
早煮昆布は1年ものです。あれは波で抜けるんです。海岸線で拾って取っています。それも2年に1回、昆布の豊漁年にしかないんです。1年生の昆布は、採取すると次の昆布は無いのでだめなんです。

【参加者の皆さんの感想 2】 
天然昆布は海底の岩を根っこがしっかりとつかんで大地と海水から栄養を吸収します。養殖昆布はロープに植え付けられた胞子が海の中で浮かびながら育ちます。根が大地についていません。この差はだしの味と澄んだ汁にでます。解らないという方もいますが、長い間天然昆布をいただいている方にはわかります。味の差についてはちょっと説明がむつかしい。地学では大地のことをミネラルといいます。鉱物とも言います。栄養学のミネラルと同じです。植物たちは大地からミネラルや栄養を吸い、自分の体に合うよう消化して吸収します。それを私たちは食べ物としていただき、自分の体に合うように消化して吸収します。私は天然と養殖は全く別物という認識でしたので、今回の研修を楽しみにしておりました。お話をしてくださった漁協組合の方のとつとつとしたお話しぶりで、漁師の方々の現在の課題などが伝わってきました。コンブ漁の具体的な方法(二年目の昆布を収穫する、早煮昆布は切れて流れてきたもの)も教えてもらいました。そしてここ利尻でも広く養殖栽培されていることを初めて知りました。少し残念な気持ち。(YH)
昆布で有名な利尻の仙法志漁業組合では、今まで全く知らなかった昆布のお話をじっくり聞くことができ、大変勉強になりました。昆布の天然と養殖の育ち方の違い、等級の決め方も初めて知りました。しかし、昆布産業に携わる人が減り、高齢化も進んでいる事、更に今年はワカメや昆布が不漁と聞き、これからどうなるのだろうと大変気になります。質の良い利尻昆布は4回使えるそうなので貴重な昆布を大事に味わいたいと思います。(FH)
残念ながら今年は昆布もワカメも不作とのこと、説明の方も心なしか元気なく落胆の様子が見えました。養殖昆布の方が安定して収穫できそうですが、天然昆布への拘りには品質ブランドを大事にする生産者の心意気が感じられました。利尻島周辺の豊かな自然が作り出す天然昆布の密集、それを餌として集まる雲丹やナマコ、安定した住まいとして集まる小魚、それを餌として集まってくる中・大型魚などとても漁場として魅力的ですが、相手が自然であるが故に自然環境変化の影響を受けるとこうした状況を作り出すのかもしれません。(NH)
憧れの利尻・礼文を訪れて、素晴らしい大自然に感動しつつもワカメの不漁の話など聞いて、人間の力ではどうしようもない大変さも実感する事になりました。(MI)
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7月4日 工程】 
礼文観光・スコトン岬展望台 → 桃岩台展望台 → 香深港 →  稚内港 →  サロベツ湿原センター
 野草
咲き乱れる美しい花々

【参加者の皆さんの感想 3】 
花のベストシーズンの利尻島・礼文島では、貴重な固有種の花を見る事ができ、桃岩展望台から望む雲海に浮かぶ利尻富士は幻想的でした。最北の宗谷岬にサロベツ湿原センターも訪れ、北海道の雄大な自然を満喫する充実した、とても楽しい旅行でした。(FH)
 この時期の礼文島の高山植物の可憐なこと!!!花に詳しかったらもっと楽しめるのにと…晴天だったら、もっと美しく、海や空の色に生えただろうと想像しました。(SN)
今回は北の大地、稚内、宗谷岬、利尻島、礼文島を巡りました。サロベツ湿原に行った時には、前日ヒグマが出没しましたと言われ、豊富温泉から中頓別町の酪農家さん宅に行く途中、何度も車中から鹿を見る事が出来、空港に向かう道中ではキタキツネを見る事が出来ました。
特に3日目に宿泊した豊富温泉は、油産出による『油』成分が特徴の天然オイルバスで、食事もおいしく、手作りバターが格別。ジビエの食品を口にしたのは初めてです。
礼文島の花の美しさや広大な大地、海の幸と手作り料理、美味しい牛乳と産地ならではのチーズ!
私にとって非日常の満喫した3泊4日の旅行でした。また機会があれば、今度は家族と共に
行ってみたいと
思える旅先です。
(SN)

利尻礼文産地研修で一番うれしかったのは、運転手の近藤さんが花のガイドをして下さった姫沼の花たちとの出会いでした。利尻の山にも礼文の山にも行けず、オタトマリ沼でもゆっくり歩く時間がなく、残念だったのですが、姫沼で残念な気持ちが吹っ飛びました。近藤さん、ありがとうございました。沼で出会ったチシマフウロ、エゾフウロ、ジンヨウイチヤクソウの美しい色、可憐な姿が目に染みついています。桃岩でもガイドして下さった運転手さん、ありがとうございました。(MI)

おいしい昼に舌鼓を打ち、北防波堤ドームを見学、古式ローマ彫刻のようなムードある建物でした。稚内港まで歩く中、ハマナス等、可愛い花々を楽しみ、いよいよ利尻の地に立ちました。ホテルでお茶を頂きながら、窓の外へ目をやると、今まで姿を見せなかった利尻富士がはっきり見え、感動。
仙法志の漁業組合で利尻昆布の話を伺い、地に足をつけて成長する根性ある天然昆布の美味しい訳を空想し、本音で力説される職員の方の姿に改めて昆布の美味しさを感謝しました。有意義な時間を持つことができました。
オタトマリ沼を見て、姫沼の花々を楽しみながら一周した後、鴛泊港近くで名物の昼食を取り、時間のない中、標高93メートルの小高い丘ぺシ岬の展望台までクサリを頼りに頂上まで行き、360℃のパノラマを満喫しました。フェリーに乗り、いよいよ花の島礼文へ。早起きし、まずホテルの花々が咲く庭を楽しみ、港周辺を散策し、清々しい気持ちになりました。いよいよスコトン岬展望台、桃岩展望台です。参加者の日頃の行いの所為なのか、見学する時は雨もやみ、レブンソウ、エゾカワラナデシコ、レブンウスユキソウ等の花々に出会う事が出来、思わずエーデルワイスの歌を口ずさみました。残念ながらランの女王レブンアツモリソウは姿を消していました。(KT)

利尻から礼文へ渡るフェリー乗り場の近くに20分程で登れるペシ岬がある。
時間もなく、荷物を引いているので、まさか??が諦める皆さんではなかった。
ふもとの道端にドン、ドーンと荷物を置き去りにして、頂上付近に豆粒の様な皆さんの姿が…!(KH)

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7月5日 工程】 
礼中頓別町・藤本牧場 → もうもう牛乳工場 →  Aコープ中頓別 → 猿払村道の駅 → 北の桜守パーク →  稚内空港 →  新千歳空港 → 中部国際空港
【JA中頓別 若山さん】
藤本牧場は平成28年に新規就農して、放牧主体で環境型の酪農経営を目指しています。搾乳頭数は41頭、未経産牛が10頭、出荷乳量が年間230トン、乳質は体細胞数が10万個、殆ど10万以下、生菌数が1.4万以下で、高品質の牛乳を出荷しています。通常は、平均体細胞数は30万というところ、中頓別は20万以下を目指そうというところでやっていますが、中でも藤本牧場は乳質が良いという事です。
藤本徹さん。奥さんは兵庫県からお嫁さんにこられました。奥さんは衛生管理が行き届いて、保育など上手で、本当に初めて酪農をやるの?と思うくらい牛を丁寧に扱うのが印象的です。
 中頓別牧場  
牧場主の藤本徹さん
中頓別牧場中頓別牧場
エサはたっぷりの干し草の育成中の仔牛      もうすぐ出産の牛の牛舎
新規就農で中頓別に入って3年目で、28年11月に。新規就農する少し前に結婚して、一緒にやっています。うちは最初から放牧と決めてやっています。今は、濃厚飼料は多少はやっていますが、将来的にはここで取れるものだけで、輸入穀物に頼らない経営を目指しています。まだ借金もありますので、それを返してからおいおいやっていけたらなと思っています。
この牧場は買ったんですけど、国の事業でリース事業というのがあって、5年間は貸し付けで、リース料払って6年目に買い取るかたちになります。
中頓別は新規就農の支援という事で力も入れているんです。1200万円くらい、頑張って下さいという祝い金で出しています。酪農は後継者がいないので、新規就農者のやる気のある方を入れたいので、力を入れています。ここ5,6年くらいに道外から3、4軒くらい入っています。
実家は十勝上士幌で、畑作です。放牧がしたかったので、こちらにきました。放牧は、冬は雪が多いので、外に出せないので、5月入ってから、長くて11月位まで。夜も放牧しています。今は乳を搾る時だけ入れます。3頭いるのは、普段は外で、今日あたり生まれそうな牛と産んですぐの牛とちょっと足を怪我したのが居ます。仔牛が2頭いますが、F1で、2週間くらいいて、市場に出ます。計画的に年間何頭と決めて、やります。
うちは種判別とかメスだけ付けるとかしないので、半々ぐらいです。精子で分けて、それが主流になっています。ただ種が付きにくいとか、生まれた子牛が弱いとかいう話もあるので、僕は普通に付けます。この子たち、角は自然に生えてきますが、仔牛の内に薬で焼きます。そうすると生えてこない。仔牛は穀物の配合飼料を1日に1kg位、あとは草だけです。ここは嫁さんが管理しています。
出荷は、ホクレンで、宗谷工場で、全粉乳になっています。うちの牛乳は3ケ月おき位で中頓独自の中頓牛乳に入っています。僕がいる地域は新規就農者が集まっています。この牧場は元やられている方が辞めて、5年ぐらいたって入りました。酪農は十勝で、学びました。高校は農業高校だった。
放牧中は牛が生まれる時は茂みに隠れちゃって、見つけるのに大変なんです。
群れで動くので、1頭が動くと動きます。堆肥は作っています。牧草畑に撒きます。
畑は全部で27か8ha位です。ゆくゆくは、草を刈ってから放す場所が欲しくて、広げたいです。秋口、草が足りなくなって、頭数を増やすのではなく、場所を広げて循環できるよう、広さが欲しいです。
【もうもう牛乳を製造する中頓別町役場】
国の交付金を使わせて頂いて、ミルクプラントを作っています。この施設は平成13年に国の補助事業を活用し乳製品加工室にミルクプラントで牛乳の殺菌機と瓶詰機を導入して作っています。
地域で生産したものが地域で消費できるというのが一番の狙いです。朝農家さんで搾られた牛乳を最大60リットルを缶で持って来て、65℃30分という低温殺菌で殺菌して急速に冷やし、瓶詰しています。均質化というホモジナイズの施設はなくノンホモ牛乳で、上の方に脂肪の層ができる牛乳です。あっさりしているんだけど、牛乳の風味を感じるという評価を頂いています.

中頓別もうもう中頓別町役場の平中さん

【参加者の皆さんの感想 4】 

餌は草だけを目指し、放牧したくてこの地で酪農を始めたという若き酪農家。
地元生産の牛乳を地元で消費する為に、アイスクリーム用の乳の殺菌機でノンホモ・パス乳を供給するという、これこそ牛乳の原点!!と感動。(KM)


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