第32回定期総会 来賓挨拶&生産者のお話
みやぎの酪農組合長 三浦 鉄夫さん
三浦さん みやぎの酪農は平成13年に県内の八つの酪農専門農協が合併して出来た、日本で二番目に大きい酪農農協です。年間生産量は8万トン、NON-GM牛乳の生産農家は27戸、量は5千トンです。その中で蔵王酪農組合の子会社がミルクファーム蔵王で、NON-GMの農家は11戸です。質の良い牛乳を供給しようということで組合員一同毎日取り組んでいるところです。 今、一番問題になっているのが、燃料用のバイオエタノールを生産するために穀類が大変不足しており、その影響でNON-GM飼料の供給もかなり危機的状況にあることです。 自給率も含めた世界の食糧問題、安心安全問題が話題を投げ掛けております。コメ輸出国のタイ、ベトナムも輸出を控えているなど、お金があっても食糧を買えない時代の到来が大変心配です。そういう中で生産者として、安心の部分も含め、皆様には心配のないよう、生乳の供給を進めていきたいと思います。

ミルクファーム蔵王社長 今野 慶司さん
今野さん ミルクファーム蔵王は平成7年に作られたまだ若い会社で、宮城県でも有数な酪農集約地帯である蔵王山麓にあります。生産者と消費者が顔の見える関係で協力し、新鮮で美味しい牛乳作りを目指して現在までやってきています。
約3万haの敷地に、ミルクプラントを始め、研修所を兼ねたレストランや仔牛、ウサギなどの小動物を飼っているふれあい広場等、生産者と消費者のコミュニケーションの場も開設しています。
また、牛乳、乳製品を使ったパン、バター等の料理講習会も開いています。小中高生の参加できる企画に協力することで、食育の一翼を担っているとひそかな誇りを持っています。
未来ネット・中部よつ葉会(以下未来ネット)さんとの出会いは昨年6月ですが、我々が今後作っていく牛乳は、パス乳に絞っていこうと思っていた時期でもありました。未来ネットさんのお話を聞き、パス牛乳に対する真摯な態度や思い入れ、そして何より造詣の深さに感心しました。我々牛乳を作っていましても、ここまで牛乳の事を考えて製造し、販売してきた事はございませんでした。本当に興奮した一日でございました。目指していた方向性が非常に合致した、そういう出会いでもございました。
しかし、我々がやっていたパス殺菌の延長線上に過ぎないだろうと高を括っておりました。ところが、いろいろと話を聞くうちに「これは大変な事と取り組まなくてはいけない。一から勉強をやり、酪農家の指導も徹底しなくては…」と思うようになりました。こだわりどころのこだわりではなくて、本当に出来るのかなと非常に悩んだ日々もありましたが、万里の道も一歩からの思いで、一歩を踏み込みました。我々にこの勇気を与えてくださったスタッフの皆さん、そして消費者の皆様方に本当に感謝申し上げるところでございます。
試行錯誤の一年でしたが、牛乳の評判も良く安心しております。今後も生産者と皆様方の掛け橋となり、真摯に牛乳作りに取り組む決意でございますので、末永いお付き合いをお願いしたいと思っております。

ミルクファーム蔵王会長・酪農家 小峯 誠さん
小峯さん 現在、乳牛は25頭、1頭当りの乳量は約30kgで、 働き手は私と女房の二人です。搾乳はほとんど 女房がやっていまして、この総会の二日間も一人で やっていますので、何かお土産を買っていかない と・・・思っています。  
今、NON-GMの農家は11戸ですが、その中でもトップクラスと言ってよいと思います。当然私の奥さんが搾ったものですから、美味しいのは当り前ですが…。  
なぜよいのかと言いますと、NON-GMの給餌が始まった2月1日から、毎日欠かさず乳の成分、体細胞数、細菌数を調べているからです。健康状況によって体細胞数が多くなったりしても、早急に対応ができるのです。 また、去年から始めたのが育成牛の放牧です。3日に一度しか牛舎内に入れないのですが、その時に3日分の配合飼料をやります。手がかからなくて私には最適かなと思っています。  
実は組合長からのご案内の通り厳しい酪農状況ですが、ひるむことなく少しでも良い牛乳をこの名古屋まで届けるよう、酪農家として役員として模索しています。 余談ですが、私、国際雉類保存育成研究会の副会長をやっています。家に来られた方が一番驚かれるのは真っ白な孔雀の羽を広げた姿で、ウエディングドレスみたいだと喜ばれます。9月の研修には私が直々に運転しご案内しますので、ぜひ見にいらしていただきたいと思います。

ミルクファーム蔵王工場長 中村 喜介さん
中村さん

こういう場は初めてでして、緊張していますが、工場長の責任、私の成長の為にチャレンジさせてもらいます。今回のノンホモ牛乳の製造も同じことが言えまして、未来ネットさんの思いを受け止めるのに大変苦労しました。
牛乳にストレスを与えないように、殺菌機、充填ライン、乳温管理を徹底的に行ないました。本当に間に合うかどうか不安でした。未来ネットさんのアドバイスも得て、牛乳の厳密な殺菌温度管理の確立を目指して日々努力しました。当社の殺菌機はUHTとパス乳の兼用機なので、72℃近辺で温度のぶれがあります。それを最小限におさえるのがうまくいかなくて、妥協しそうになった時もあったのですが、機械メーカーと協力し、自信を持って言える、厳密な温度を見つけられたので、大変誇りに思っています。
プレーンヨーグルトも未来ネットさんがスターターとして、従来の物に加えビフィズス菌も使って欲しいという要望でした。ビフィズス菌は酸素に弱い菌なので、うまくいくか不安でした。実際製造して検査に出したところ、ビフィズス菌が生存しているということで、ほっとして製品化できたということです。
結局、製造にあたり、私もまだ30ですが、若い連中の教育が一番重要だと思ったんです。当社は人数も少なく、全てを一緒にやらなくてはいけないのです。同じように温度管理が身について、製品冷蔵庫の閉め忘れなど私のほうが逆に注意される程です。今回の取り組みで、若い連中もレベルアップしたと確信しています。



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