フェスタ報告


未来ネットでは、毎年会員の皆さんと、安心な食べ物や暮らしの情報、環境問題などについて、 生産者を招きミニ講演会を開催しています。
09年は、「おいしく楽しく学んdeフェスタ」と題し、取扱い品の応用例他を試食しながら、4会場で実施しました。



おいしく楽しく学んdeフェスタ2010報告
     ★11/ 1 九鬼産業(ごま・ごま油)営業部長 田中啓之さん
★11/ 5 ヤマキ醸造株式会社  社長親子 木谷冨雄さん・善光さん
★11/15 光食品株式会社 社長 島田 光雅さん  
★11/30 ライスロッヂ大潟村黒瀬農舎 (黒米)阿部 淳さん 


                 
こころ、ひと粒一粒 
  2010 11/1
岡崎市図書館交流プラザ りぶら

九鬼産業株式会社 営業部長
  田中 啓之さん
明治19年、創業以来百二十年を越える歴史を持つ九鬼産業株式会社、本社は三重県四日市市尾上町にございます。現在の会長は四日市の九鬼系十一代目で九鬼祥夫、そのうち代々の紋七と名乗るかもしれません。戦国時代に村上水軍としのぎをけずった、九鬼水軍の流れをくむ家系でございます。
《 会社概要 》
従業員約180名でゴマ専業です。製油業の中ではそれほど大きくありませんが、仙台、東京(支店)、地元(四日市中部営業所)、大阪、福岡の5つの営業所で全国をカバー、最近は日本食ブームで、大阪の貿易部門から海外へも輸出しております。
《 経 営 方 針 》
 1. 安全・安心で美味しい胡麻製品を提供することで、 人々の生活に貢献します。
2. 物事に対して正々堂々と対処し、 常に取組みを見直して改善し続ける人間集団を目指します。
3. 顧客に提供する製品の品質保証、管理体制を確立し 法遵守いたします。
4. コミュニケーションを大切にし、顧客や取引先の繁栄、 社員や我々をとりまく人々の幸福に貢献します。
《 品質・安全対策 》
◆国際規格 当社はここ二年でISO(国際規格)22000という食品制度に特化した内容に重点をおく認証を取りました。非常に古い企業なので伝統的なものづくりを先輩に学ぶのが難しい若い世代のためにも、できるだけマニュアル化するというシステムを導入しました。ゴマの専業企業としてはこういった認証は一番早く取得しました。
◆品質管理体制 製造商品の細菌検査、油ですと、色・風味などの感応検査、最近でこそ問題にされる残留農薬の検査も行っています。ゴマという作物は国産がほとんどなく、産地は多岐にわたっています。主に開発途上国からの輸入原料を使っていますので、コストはかかりますが、もう二十年以上前から自己防衛として、農薬の自社分析に取り組んでいます。最近、日本はポジティブリスト制を導入、基準が設定されていない農薬等が一定量以上含まれる食品は国内で流通禁止となりました。当社も、より高度な分析機を導入し、同時に公的分析機関でも定期的に分析、徹底的に管理しています。
◆6S活動> 工場内を清潔にするための活動で、整理、整頓、清掃、清潔、躾、習慣の頭文字です。このトヨタさんの手法を勉強して、管理・改善活動も徹底して取り組んでいます。
《 ゴマの産地 》
以前は中国が8〜9割でしたが、最近ゴマ油用は主にアフリカ産で6割、食品ゴマ、練りゴマ用は主に中南米産で4割の割合です。ゴマは手間がかかるわりに収量が少なく、国産は非常に少なかったのですが、食の安全が見直された近年、増えつつあるようです。
《 ゴマ油の優れたところ 》
◆成分と効用 日本国内での油の消費量約280万トンのうち、ごま油は約1.5%の4〜5万トンに過ぎませんが、ごま油でなくてはと消費者に珍重されています。ごまは油分が半分かそれ以上で、ミネラル分(カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛)が豊富な食品です。カルシウムが皮の部分に際立って多いです。白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマで栄養価に大きな違いはありません。機能性物質としてゴマリグナンのセサミンは抗酸化性(老化抑制効果、肝機能増強作用、アルコール代謝促進など)があります。私も飲み会前に練りゴマをスプーン一杯食べます。他にビタミンEやセレン(抗酸化作用)なども含まれます。
◆酸化安定性 植物油の中でも断トツで酸化安定性が優れています。山七ごま油は缶入りだと賞味期限二年半、透明ビンだとそれより半年短いです。実際は倍の期間経っても劣悪環境でない限り、それ程酸化が進みません。油の色が濃いと、酸化安定性も高くなります。
◆揚げものに最適 油酔いの成分が非常に少ないので、たくさん揚げても大丈夫です。香りも良いので、素麺を伸ばすのにも使われています。
《 製 造 》
≪ゴマ油≫ 搾油工場は本社、四日市港のすぐ近くの運河縁です。ゴマ油といっても様々で、お客様のご要望に応じて、タイプの違うものを製造しています。
〈太白と山七の違い〉 よく、黒い油は黒ゴマを搾ったのでは? と言われますが、実は色、風味の違いというのは焙煎の違いです。  色もサラダ油風で、風味も生っぽい太白は、熱をかけずに搾ります。山七のように焙煎して搾ると、色や香ばしい風味が出てバリエーションが広がります。
〈製造工程〉 原料の輸入ゴマには石、茎、葉などが混ざっているので、前処理工程の選別で取り除きます。焙煎工程で品種に応じて焙煎、圧搾工程で物理的に搾ります。イメージはねじのように外枠にスクリューを押し込み、段々圧を高めて、油を搾り取ります。ゴマは非常に油分が高く含有量54%ぐらいなので、圧搾だけで油が搾り取れますが、歩留まりが悪く、搾りかすにまだ10%ぐらい油が残ります。その後、ろ過(フィルタープレス)してタンクに静置。沈殿、沈殿物除去、ろ過、静置、沈殿・・・を繰り返して仕上げます。 一般的な大豆、ナタネ油はゴマ程油分がないこともあり、ノルマルヘキサンという溶剤を使って抽出、溶剤を揮発させて油をとります。こちらは、搾りかすにはほとんど油が残っていません。
≪いりゴマ・すりゴマ≫ 工場は本社工場の敷地内で、ゴマ油工場に隣接しています。粒のまま煎ったゴマとそれを擂(す)ったゴマ。焙煎、加工の違いで多種類になります。 こちらは、ゴマを選別してそのまま食べるので、選別には神経を使います。専用の選別機はほとんどなく、他の業界で使っているものをゴマ用にアレンジして、工夫しながら選別しています。選別、水洗、脱水、焙煎、また選別。選別に始まり選別に終わります。 後処理として、特徴的な色選別機により、焦げたゴマや白ゴマの中の黒・茶ゴマを選別します。異物は金属検出器でチェックします。
≪練りゴマ≫ 専用工場(三重県菰野町竹成)は平成から操業。国内で一般的な練りゴマは、海外で皮をむいて、それを輸入して加工することが多いです。当社は自社工場の中で、ゴマ同士の摩擦を利用して皮をはぎとり、新鮮な状態で練りゴマへと製品化しています。
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本物にこだわって
2010 11/5
名古屋市東生涯学習センター

ヤマキ醸造株式会社
代表取締役 木谷冨雄さん
         
  



  常務取締役 木谷善光さん

 ヤマキの原料を栽培している須賀さんは自然農法の大豆生産者です。今でこそ「健康は食べ物から」と言われますが、先代から60年自然農法を続けて「豆太郎」という農業法人に育て上げました。250haの有機認証圃場は日本一、しかも種から全て自家採取です。
ヤマキ醸造の工場は、以前は本庄市の街中にありましたが、本物は原料だけでなく「美味しい空気、水」にもこだわりたいと、神が与えた湧き水の村と村人たちがいう「神泉村」へ18年前に移しました。

《 顔の見える関係 》
生産者と共に宝物は皆さんの様な消費者の方々です。食べ物は生産者と消費者が一体とならないと絶対に「食と農」の構造ができません。しかし今ほとんどお互いの顔が見えません。未来ネットは消費者が生産者をしっかり支えています。利害関係無しに、生産者と共に日本の「食と農」を守ろうというすばらしい考えを持っています。生産者がお金を貰って「ありがとう」「頑張って」と言ってもらえるなんて。こんな関係を次の時代に続けていけたらと思っています。
《 大豆生産者の実情 》
しょう油の歴史は1千年前からです。大きく変ったのが第二次世界大戦からで、食糧事情が悪くなって仕方なく脱脂大豆を使っていました。豊かな時代になっても単価が安いので代用原料として使用され、今も75%位が脱脂大豆です。大豆の国内自給率は3〜4%位になっています。大豆はすでに輸入が自由化されていて、輸入大豆は1kg50円位です。中国と日本の人件費の違いは1/10で運賃かけて運んでも安いのです。実際、大豆を作るのは大変なんですね。しかも農薬、化学肥料、除草剤をいっさい使わずですから。例えば1町歩(100a、約3000坪)で作物を作るというと、これは家族・子供が入って一生懸命やらないとできない面積です。で、大豆1kg700円位ですが1町歩でいくらとれても1000kgは採れないでしょうね。これは農薬・化学肥料を多用する慣行栽培の1/2です。大豆を生産するには半年から7ヶ月かかり、70万円貰ったって、1ヶ月10万円ですよ。だから、大豆作ってと頼むと「米だったらやるよ」って言われてしまいます。米はだいたい5倍穫れるんですよ。あと、野菜は蒔いてすぐ穫れますから。かたや大豆は種を植え付けて7ヶ月、収穫は1年1回ですからね。単価高いんじゃないの?って言うけれど農家にしてみればやりたくないですよ。しかし「豆太郎」は国の補助金もあてにせず、「お前らバカじゃないか」と言われながら大豆一筋に60年続けてきました。生産者と消費者の距離と情報を短くすることによって、消費者には「大豆って、そんなに大変なの。頑張ってくれたのね。」と感謝が生まれます。生産者は「応援してもらってる、頑張らなくては」と思います。お互いに一番素晴らしい形です。両者が一体となってこそ、日本の農業なり、食なりが守られるのだと思います。
《 日本の農の現状 》
最近、海外に色々な関係で行くことが多くなって、食品の国際展示会などに出るんですが、5〜6年前位は日本人と欧米の方だけだったのがここ数年アジア系の特に中国の方がすごい人数で来ています。実際にオファ−が入ってきたりもしています。中国も非常に富裕層が増えてきて、向こうに持っていくと、ヤマキのものがだいたい2倍の値段になるんですよ。日本は中国など海外から安いものを買っていますが、向こうは逆に「日本の物ならいいよ」と高くても買う指向になっている。日本の作物に対する信頼感はすごいんです。日本人自体はもしかしたら評価していないかもしれないですよ。 話題のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の事ですが、輸入品にかける関税を100%撤廃しようというものです。中国なら17%位輸入した食品にかかるんですが、それをゼロにするのです。そのかわり向うからもゼロで入ってくる。今、日本では米だったら700%位関税がかかります。JAなんか「そんな事をしたら日本の農業はやられてしまう」と大反対しています。けれど、このままでは日本企業はどんどん海外に行ってしまいます。その辺のせめぎあいになっている様です。
《 本物にこだわって 》
味噌、豆腐、しょう油など作り方を見て頂いてもそんなに複雑な物は使われていません。大豆をふかす、それに小麦をまぶして麹菌と一緒にじっくり熟成させて…。原料でほとんど決まってしまうと思うんです。大豆自体が美味しくないと美味しい味噌はできません。 我々も規模の大きな会社ではないので、いい原料を厳選して昔ながらのやり方で本物の食材を作り続けていきます。
★会場では豆腐の作り方についてのコツもお話しいただきました。 手作り豆腐作りで絶対失敗しないのは、器に豆乳を入れ、冷たいままにがりを入れて燗をつける方法です。何か冷蔵庫にある物(例:しそや柚子の皮など)を入れるとお母さんのオリジナル豆腐が出来ます。
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こだわりのソース
2009 11/15
  天白生涯学習センター 
(名古屋市)
光食品株式会社 社長  
島田 光雅さん
《 美味しいものを作りたい 》
ただいまご紹介に預かりました光食品です。
社員が、25人位の本当に小さい会社です。安全性は、どこにも負けないとか、環境に関してはやれるところまでやるとか、やりたい放題やらせてもらっています。私どもの会社は、戦後復員した私の親父が起こしました。おいしいものを作りたいと作ってきたら、安心安全なものになったのです。実は、親父としては戦争でほとんどの友達をなくして帰って、生き残っていることにすごい罪悪感がありました。ある程度会社として運営できるようになった頃、昭和39年、東京オリンピックがあって、新幹線の超特急の名前が『ひかり』で、たまたま会社名と同じだったことから、社会に貢献したいという思いを抱きました。当時本当に添加物だらけの時代で、その時代に一切添加物を使わないソースを発売したいということに繋がりました。
《 無農薬の野菜・果実のソースを実現 》
ソースの原料って、皆さんあまり知らないのですが、野菜、果実、その次に砂糖、酢ですね。
当時砂糖を一切入れずに、今からすると信じられないようなチクロ、ズルチン、サッカリンという薬品で作っていた商品ばっかりでした。そういう薬品や添加物を一切やめて作った商品が、安心安全へのスタートでした。でも、今みたいにこだわりがほとんどない時代ですから、そういう商品を作っても売れないわけです。おかげで本人としては自己満足でこんな良い商品を作っているみたいなところがあり、売れなくても細々と作っていました。  
そのうちに『AF2』という豆腐の防腐剤とか、チクロも発がん性があるとか、世の中に添加物の問題が提起されて、ずいぶんいろいろな添加物が禁止になっていきました。昭和49年に有吉佐和子さんの『複合汚染』という本が発表され、もっと安全なもっとおいしいものを作りたいという気持ちが芽生え、農薬も化学肥料も使わない野菜、果実でソースを作りたいという思いが生まれました。 昭和50年、私が大学を出てすぐに親父から無農薬無化学肥料の生産者を探して来いと言われました。早速付き合いのある所にお願いに行ったのですが、今思い出すのもつらいぐらい馬鹿にされたり、農薬を使わないでものができるかと言われ、嫌な思いもずいぶんしました。   
減農薬だったら作っても良いよという話もあったのですが、親父は職人肌の人間でしたので、そんな中途半端ならやらなくてもいいと言われて、あきらめざるをえませんでした。昭和51年たまたま農薬をかけずに化学肥料も入れずに作っている人が徳島にもいると教えてもらって、玉ねぎ、ニンニク、人参、トマトは作ってもらうことができました。リンゴはなかなかなくて、今から8〜9年前に9月の初めに台風が来て、青森で有機のリンゴが3000個くらい落ちたので助けてほしいという話が来ました。国内産の有機のリンゴは欲しくてしょうがなかったので、値段も聞かずに買ったらすごく高かったのですが、国内産有機リンゴ使用のトンカツソースを発売した経緯があります。
弊社は四国でミカンがたくさん採れます。無農薬のミカンは、ヤノネカイガラムシという虫がついて真っ黒ですが、皮をむくとすごくきれいなんです。有機のリンゴの代わりにミカンを使うと、その酸味・甘みはソースにすごく合うということで、昭和52年に日本で初めて有機原料のウスターソースが生産できました。
私は、生産者に会うために苦労したという経験があって、有機を作って頂ける方は神様みたいに思えます。そういう人たちの作っているものを、一生懸命私どもの商品を買って頂ける皆様のような所に紹介するのも、使命の一つという気持ちがあるわけです。
私は食品衛生、微生物の勉強を大学でしてきた関係もあって、商品開発の知識があります。実は人参が20t位余っていると言ったら野菜ジュースを作ったり、今度は200tあると言われて、人参ジュースを作ったり、今では有機の人参を1000t位ジュースにしています。
自宅で、生で人参ジュース搾っている方はみえますか?気をつけてもらいたいのは、人参にはビタミン破壊酵素があり、他の野菜や果物と一緒に搾ると10分もするとビタミンは0になってしまいます。酢とかレモンを入れると30〜40分は遅らせることができます。
《 妥協せず、手間と時間をかけた製品 》
それからうす塩ウスターソースは、塩分を20%カットしてるんです。20年位前に発売したんですが、その時は今の塩分で1/3、30%カットしたかったのですが、弊社の商品は防腐剤を入れずに作ってますので、20%以上塩をおとすと保存が心配です。皆さんの所で開封後要冷蔵して頂ければ、ある程度もちます。弊社の商品は6ヵ月以上寝かせた後殺菌しています。玉ねぎと野菜を入れ、お酢を入れて寝かせています。個性の強い香辛料を使っているので寝かせるしかないんです。コショウも製造直前に粉砕します。実は香辛料には油が入っていて、すぐ酸化します。酸化すると粉砕しにくいので、一般的なメーカーは、小麦を媒体にして粉砕した香辛料を使っていますが、アレルギーの問題を起して、その後は一番楽な方法でエッセンスを入れています。
弊社の場合は逆で、ゆっくり寝かせて塩の角を取る、酢の角を取る、いい原料を使えば時間をかけてやるしかありません。それと一番難しかったのはカラメル色素で、カラメル色素をやめたら、見た目の色で味が薄くなったというクレームがありました。少し味を濃くするしかないということで克服した経緯があります。餃子事件で中国問題がおこりましたが、中国は唐辛子を世界の90%以上を生産しています。みなさんが中国産はイヤというので急遽唐辛子も自社農園で作ってクリアできました。価格のことも昭和52年に作ってから35年間、一度も値上げしていません。
弊社では農業に力を入れております。有機のトマトで苦労しているんですけど、生食用トマトの品種は結構手間がかかり、加工用トマトはリコピンがめちゃくちゃ多いのです。リコピンは活性酸素を除去する効果があって、生食用に比べて3倍から5倍あります。例えばケチャップを毎日スプーン一杯食べると活性酸素をやっつける効果があると言われています。生食用は少ないとはいえトマトジュースにして飲むと効果は多少有ると思います。
慣行栽培だと反当り6tから9t位取れますが、徳島では梅雨があり台風もあり、有機栽培だと反当り1t位しか取れませんのでリスクが高いのです。自社農園ではいろいろな種のテストができるので徳島向きのトマトの品種改良を手掛け、3年位前に1tしかできなかったのが今は3tから4tでき、生産者にも喜ばれています。
《 徹底して環境にやさしい食品づくりを目指して 》
最後に私の自慢は自社工場ですが、1番大きいのが環境にやさしい食品づくりで、生ごみを太陽と風だけで全部たい肥化しています。工場の機械の殺菌等に使った水をもう一度集めて夏の暑い時にスプリンクラーで撒き、うち水効果で電気代が15円しかかからなかった日もあります。太陽光発電も取り入れて工場の電気代の20%から25%を賄っています。それと排水処理ですが、近くに吉野川が流れていますが、その川よりきれいな状態の水を排水しています。工場には、私の考え方に共感してくれている人が多く働いていてくれています。
小さな会社でできることは限られていますが、自分が関わった食の中で、良いもの、安心安全なものをみなさんにお届けして、環境問題にも少しでも貢献できればいいと頑張っていきたいと思っています。
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紫色に魅せられて
2009 11/15
  高蔵寺ふれあいセンター 
(春日井市)
ライスロッヂ大潟村 黒瀬農舎  
安部 淳さん
《 自己紹介 》
秋田県大潟村でライスロッジを通じ古代米アサムラサキを皆さんに食べて頂いています。昭和42年父が大潟村第1次入植者で、中学1年に大潟へ来て以来、大学も秋田なので一歩も出た事がなく、農業を継いで32年、現在56歳、孫も4人おります。
《 植林のきっかけ 》
18年前水道水改善等の環境問題に取り組んできましたが、宮城県気仙沼の牡蠣の養殖家・畠山さんの講演会でブナの植林を行い「環境を守ること」から「創ること」へシフトしている事を知り、私たちのグループも良い環境を残す為にブナの植林を始めました。植林は急斜面で杉など伐採された枝が散乱し山ヒルが出て大変ですが、流域や地域の住民を始め消費者に、農産物の生産環境を守る為に協力して欲しいと呼びかけました。全国で1000名弱の会員がいます。毎年11月3日120〜170名の方が参加され、伐採後の交流会では地球の為にいいことができて清清しいと仰る方もいます。
《 NPO法人リスシテステム 》
「リスシテステム」は遺産の必要分を残し、あとは社会的な活動に使う事を生前契約するNPO法人です。そこから400万円程寄付を頂き、看板の立て替えや1年に100万円程かかる下刈りに利用させて頂いています。
《 植栽の効果 》
植林によって、落ち葉が増え、ふかふかになった腐植土が増加します。広葉樹の腐植土には、植物プランクトンの生育に重要な役割を果たす鉄分が多く含まれ、河川から海に供給されて二酸化炭素の吸収能力が高い海中植物の増加に結びつき、温暖化防止に役立ちます。ブナの植林も現在は行政や民間が中心に行い、地域に根付いている感じがします。ブナは成長するのに200〜300年かかり1本の木で根元に8トン位水を蓄えます。大きな木が育つには、人間の寿命を遥かに超え、自分の死後、子や孫の時代までも考えられるようになりました。ブナを植えて木を育ててきた事に自分が育てられている、教えられている、というように思います。
《 古代米の紫に魅せられて 》
今年から自然栽培にした古代米です。隣のササニシキと比べ、苗の時から色が違います。古代米の高貴で綺麗な紫色に憧れ惚れ込んで、今年で11年作り続けています。
《 古代米の歴史 》
縄文の頃から神社などの祭礼用に細々と作られていたようですが栽培し難く、品種改良により出回るようになりました。私は、東北農業試験場で十数年前に品種改良された、お餅にもご飯にも汎用性がある紫黒米の「アサムラサキ」だけを作っています。栄養成分として、抗酸化物質のポリフェノールのアントシアニンを多く含み、肝機能や視力の増強、ガンの抑制や生活習慣病の予防に効果があると言われ、ミネラル、鉄分、カルシウムなども豊富です。発芽させると、ギャバというガンマ-アミノ酪酸も含み、とても身体に良い物になります。
《 自然栽培が究極の環境保全型農業 》
20年位前から、「安全でおいしいお米を安定的に」というコンセプトで生産し、消費者の皆さんの健康と生産環境の保全に注意を払っています。除草も田植え後すぐ7月の中旬位までに5・6回除草機をかけ、また1週おきに取ります。無農薬なので、機械の残りを手で除草しますが、手が足りず、雑草に巻かれることもあります。
古代米は精米すると中は真っ白で、糠層に栄養効果があります。無農薬、有機栽培、除草剤一回とかやってきましたが、糠層に除草剤や化学肥料とか残留しやすいため、今年から自然栽培にしました。作り方は、長年自然栽培をした田んぼの土で育苗、その田んぼから取った稲わらだけを堆肥にして苗を作る。だから苗が育たない。なのに雑草だけは成長がいい。でも「より安全な物」のためには、自然栽培が究極の環境保全型農業ではないかと思っています。長く自然栽培を続けることによって植物の耐病性、対害虫性を助ける微生物群が増えていくんだろうなぁということを感じています。
《 発芽玄米餅加工 》
3日くらいお湯に浸漬しますが、少し温度をかけて発芽玄米状態にすると、糠が柔らかくなって搗きやすく風味も出て適度に粒々も残って舌ざわりも良くなります。一日一回は水を取り替えないと発芽臭が凄いので、濃いワインのような水を、もったいないなーと思いつつ交換しています。とっても色落ちするので、加工を引き受けてくれる所がなく3ヶ所くらい断られ、今はJAの加工場で12月の末頃、最後の片づけをかねて家のお餅を作ってもらっています。
《 目指すのは永続可能な発展 》
異常気象の中、収量の増減はありますが、何とかお米が取れていること自体が奇蹟のようです。食糧安全保障という感覚がないので、自分たちの生活を自衛することを考えておくことが大事じゃないかと思います。「永続可能な発展」を考えたライフスタイルを構築して、なるたけお金に頼らないような生活が出来たら良いなと、トラクターに乗りながら、除草機を押しながら考えています。皆さんと交流を通して探りあえたら、より良い社会が築けるんじゃないかなぁと考えている今日この頃です。
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