第35回定期総会 報告 |
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2011年 5月13日(金) 名古屋市中区役所ホールにて行われました。
・来賓挨拶
ミルクファーム蔵王社長 小峯 誠 さん
みやぎの酪農組合長 三浦 鉄夫 さん
デイライン会長 米山 光明 さん |
第35回未来ネット定期総会
議 題 |
・2010年度 活動報告並びに会計報告
・2010年度 会計監査報告
・2011年度 委員候補承認、会計監査承認
・2011年度 活動方針案、会計予算案 議事は、つつがなく承認されました。 |
・生産者のお話
◇全酪連北福岡工場 品質管理課長 和泉 徹治さん
◇蔵王プロヴァンスファーム酪農家 渡邉 茜さん |
ミルクファーム蔵王 取締役社長 小峯 誠 さん |

小峯さん |
東日本大震災に伴い、当社並び酪農家に対し義援金を頂戴し有難うございます。当社の修繕・機器導入、酪農家のダメージ回復のために使わせて頂きます。一部、みやぎの酪農に見舞金という形で納めさせて頂きました。原乳・土壌・牧草等の放射能検査費用に当て、安全・安心はもとより安定供給ができるようにしたいと思っています。
震災は、酪農家としては、いつ再開できるか分からず毎日不安で…。牛乳は出荷できないので、餌を減らし搾乳回数を減らすという状況が続きました。牛は鳴くだけが要求の手段で、姿を見せれば一斉に鳴きます。これを聞くのが、酪農家には非常に辛い。姿を見せないで、牛も人間も堪えてきました。 |
会社の被害状況ですが、牛乳の廃棄が約30tありました。工場の送水ポンプ、牛乳タンクやラインのズレ、充填機、排水設備、壁等の破損等これに伴う損失は甚大でした。福島原発の放射能の心配もあり、新潟まで車を走らせ名古屋の衛生研究所に原乳のサンプルを送ったという状況です。3/25に結果が出て、3/26に製造販売を開始。宮城県としても原乳検査が実施され、ヨウ素・セシウムとも検出されず2度安全確認し皆様に提供と、いち早く営業再開できました。安全を確認し自信を持って生産・製造販売しなければいけないと、改めて学びました。 |
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みやぎの酪農 組合長 三浦 鉄夫 さん |

三浦さん |
私の出身は気仙沼市、家内は南三陸町ということで、今回の震災の話をお伝えしたいと思います。
全国の方から、たくさんの義援金、励ましの言葉を頂戴しました。この場を借りて御礼申し上げます。
私は、仙台のホテルの3階で会議中、震度7という大変な地震に合いました。恐怖にかられながら、なんとか地上まで降りましたが、経験したこともないパニックに陥りました。雪の降る中、緊急避難場所に何万人もの人が集まってきたのが、今でも目に浮びます。テレビも携帯もダメで、被災地の真っ只中に居ながら、自分の状況が全く解らないという状況でした。 |
水が来ないので、寝ずに3時近くまでタンクに水を運びその後街に出たんですが、あれは夢じゃないかと。自分の住み慣れた街が一変していて非常にショックで、車の運転が出来ない状況に陥りました。
末娘のアパートに行ったら、カーテンが閉まり鍵がかかって車が無い。津波に巻き込まれたかと膝が震える思いでしたが、隣の奥さんから施設の方に行ったことを聞き、一安心しました。我々海の傍で育ったので、小さいときから「地震はてんでんこ」と。(注:津波は早いので、てんでんばらばら自分の責任で早く高台へ逃げろの意)今回の大地震で、先祖の言っていたことがよく解りました。
身内が13人亡くなりまして。女房の実家と娘の嫁ぎ先が南三陸町で、跡形も無く流されたという事です。気仙沼では、重油のタンクが流れて次々に火災を起し、まるで地獄の光景を見るようで、思い出すのも嫌な状況でした。
我々組合の酪農家は、地震当事電気が止まりましたが、幸い仙台から南は被害が一番軽かったようです。牛乳を搾るのに電気が通りませんので、頭数の少ない方は手搾り出来たんですが、搾れない牛は20日ぐらい乳房がパンパンに張って、今でも後遺症が残っている状況です。搾った牛乳は冷却施設が動かないので、バキュームカーで牧草地に捨てる。酪農家にとって一番辛い仕事でした。農水省から、煮沸すれば避難所に配っても良いという通達が出て、搾った牛乳を避難所に運ぶのが日課になりました。4/1に再開するまで続きました。一番悲しい思いをしたのは、家族と牛舎と母屋が全部流されてしまったという農家が2戸。家族は助かったけれど、牛舎とか牛が流されたという農家が10戸。他にも地震で崩壊した牛舎母屋があり、組合員の方々は大変な辛い思いをした訳です。
日が経ち4/1で90%くらいの方々は出荷もできるようになり、集乳路線道路もなんとか整備ができ少しずつ立ち直っていますが、被災前と比べ乳量は17〜18%落ち込んでいます。
自然災害はどうしようもないと諦めはありますが、今後とも美味しい・安全な牛乳の生産のために頑張って参りたいと思っておりますので、今まで通りのご支援、今一度お願い申し上げたいと思います。
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デイライン 会長 米山 光明 さん |

米山さん |
本日35回の定期総会が盛会に開かれる事、心よりお祝い申し上げます。
今回の大震災により安心・安全そして美味しい牛乳が途絶えてしまったことで、酪農家の皆さん、生活者の皆さま方に大変な御苦労があったことに心よりお見舞いを申し上げます。
実は埼玉狭山の1,500坪の冷蔵倉庫で牛乳を一時中継しているのですが、相当広い運動会でも出来るような広い倉庫に約半月間全く牛乳乳製品が入ってこなかった。
冷蔵庫空っぽの中で、3月末でしたかまだ他の牛乳がまだ動か無い中、ミルクファーム蔵王さんの在庫が、ほんとにちょこっと、保管された事。努力されて、かなり御苦労されたんだなと実感しました。 |
昨年の総会で、皆様が常に牛乳の保管・温度管理に徹底されているのを伺いまして、名古屋までの温度管理品質管理をしっかりしなければと思っております。
私どもの企業理念、安全・安心・確実な物流を目指すということを確実にこれからもやっていくことをお誓い申し上げます。 |
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みちのくゴーダへのこだわり 全酪連北福岡工場 品質管理課長 和泉 徹治 さん
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和泉さん |
全酪連の北福岡工場・品質管理課の和泉徹治です。みちのくゴーダチーズの製造についてお話します。工場は、岩手県の北部二戸市にあり、原乳は岩手県北部の全域と青森県の十和田・田子・乙共地区、秋田県大館・十文字地区から頂いています。工場は脱脂粉乳の棟と、1本約100tの牛乳サイロが8機あり、市乳棟で生クリームを作っています。従業員は76名。総務課、製造課、品質管理課、原料課と4つの組織から成っています。 |
日本のチーズは、ナチュラルチーズとプロセスチーズとに大きく分けることができます。一般に普及している7割がプロセスチーズですが、食文化の変化でナチュラルチーズが伸びています。
ナチュラルチーズとは、原料の牛、ヤギ、水牛、羊の乳に乳酸菌と凝乳酵素を加えて固め、カットしホエーを出すと出来ます。
プロセスチーズは原料のナチュラルチーズ1〜2種類から4種類、基本的には2〜3種類くらいを75〜100℃加熱し乳化剤、リン酸塩を入れ型に移して冷却。乳酸菌等の菌を全部殺しているので品質が変化しない。対して、ナチュラルチーズはどんどん味が変わってきます。 |
みちのくゴーダの作り方
布フィルターを通して78℃まで加熱殺菌した原料牛乳7tを、巨大なお風呂のようなバットに入れます。途中まで貯まったら、ダイレクトバートカルチャーという、複雑に変化する事の出来る4種類の菌で構成された乳酸菌を加えます。 貯まったらスターター、レンネットを入れ40分間置いて指を入れ、スパッと割れ透明な黄色がかったホエーが出てくるか、担当者が状態を確認し支持を与え、1cmくらいのサイコロ状にカット。そしてホエーの排出。一番大事なのはゆっくり攪拌させる事。早くやってしまうと、カードを崩してしまい小さい粒になって歩留まりが悪くなります。 |
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ホエーが浮いてきたなと思った所で3分の1か2くらい抜いて、温水を加え再度ホエーを抜く。ホエーを抜く事によって、1cm位の小豆大になるのでさらに攪拌をかけ、お湯を入れる。この時10分位で0.5℃ずつ上げていき、最終的には34〜5℃までに上がった後、ホエーをバットに移送します。ホエーがなみなみと保たれたままで作業しています。次に1回目のシンク内プレスを行った後、大体32cm角にカードをカットしたら、10kgモールドにひたすら詰め合わせていく作業を行います。その後、圧力を加えカード同士を接着させ、残っているホエーが抜けたら、冷却室で冷やします。乳酸菌の異常発酵や表面に付いている雑菌の動きを止めるため、翌日までかけチーズの温度を下げます。 |
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温度を下げたものをブライン槽で20%の塩水で1昼夜漬け込み、その後に予備熟成庫に移動し表面の乾燥をします。欧州などでは、このまま常に反転させながら数ヶ月間熟成させ、周りにリンドという固い層ができ中は熟成、外部からの雑菌防止ができます。しかし、我々は乳価という問題がありリンドレスという形で作っています。表面にゴミがついていないか、一つ一つ拡大鏡で確認後、真空パック(シュリンク)しています。4ヶ月位熟成を行いますが、箱ごと移動させて上下反転するので、結構重労働です。 |
損をしても良い物が作りたい
昨年度1年間、我々が取り組んだことです。チーズの穴は見た目が良くない。丸い穴は乳酸菌による発酵ですが、横になっている穴はメカニカルチーズアイという、製造時の空気の抱きこみで発生したものです。何が問題か、殺菌から塩漬けまでの製造工程調査、乳酸菌の特徴、予備熟成および熟成時の管理温度の検討を行いました。乳酸菌は酸素に触れると活力が落ちる、製造時長時間空気に触れることで空気を抱きこむ等が解り、カード整地作業はホエーを満たしたまま行い、モールドも早く詰められるよう人海戦術で一斉にやるようにしました。結果、非常によく改善されメカニカルホールが全く無くなり、水分56%前後だったものが固形成分が2%上がりました。固形成分を上げるとウチが損をすることになりますが、いい物を作りたいというのが現場の要望です。また、我々が製造している工程を見ていただいて、消費者の皆様が安心だなと感じていただければなと思います。
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酪農の楽しみ 蔵王プロヴァンスファーム酪農家 渡邉 茜 さん
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蔵王プロヴァンスフファーム |
渡邉さん |
今回の大震災で皆様より多額の義援金を頂き有難うございました。また以前抗生物質の入った牛乳を混ぜて出荷してしまい、皆様に多大なご迷惑をおかけした事をこの場を借りて謝罪させて頂きます。申し訳ございませんでした。
ウチの会社の概要です。現在搾乳している牛の頭数112頭でしたが、どうやら最近2頭分娩して114頭です。育成牛と合わせて約210頭の飼育をしています。最近、白石市に「小十郎の郷」という地場野菜などの直売所が開業し、そこでウチのアイスを売っております。
アイス販売のはずが牛と仲良しに・・・
就職の動機です。私は今までに家で酪農とか牛に触った事も無く、会社の応募要項で搾乳者とアイスの販売員を募集していたので、アイスの販売員で応募しました。が、面接の時社長に「牛の世話もして欲しいんだけど〜」と言われ、結局今は四六時中牛の世話をしています。作業内容は、牛の搾乳と育成牛の餌と水やりです。まだ搾乳するペースが遅くて、朝一人でやると、ミルクファームさんの集乳車が来ているのに終わっていないという状況で、ちょこちょこ迷惑をかけています。 |
1年経って、やっと一人で搾乳もできるようになって嬉しく思っています。これまでで楽しかった事は、初めて牛の世話を全部しているので、知らない事を知って、自分に新しい知識が付いていくということを感じながら仕事をする事です。
育成牛の水やり中に、やはり育成牛は興味が色々あるようで、ホースから出る水をなめてみたり、私の作業着を噛んでみたり、ホースを噛んで何本かダメにされたりするのですが、その様子を見るとかわいいので許します。また、子牛のミルクを飲んでいる姿がすごく可愛い。 |
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辛いことはやっぱり生き物の世話なので、亡くなっている事を見つけた時が一番辛いです。一番の思い出は、会社に来て初めて搾乳した時、なかなか上手く※前搾りができずに苦戦したのを覚えています。
(※前搾り・搾乳する前に乳房炎や血乳の混入防止のため手搾りすること)
どうしたら上手く出来るのかと、一人で夜イメージトレーニングしてやってみたのですが、結局全然できなくて、イメージトレーニングをして翌日実際やってみてを繰り返し、ようやく一人でできるようになりました。
心掛けている事は、最初の頃しょっちゅう牛を逃がしてしまい、先輩に「ちょっとしっかりしろよ」と言われ、傷つきました。でも、そう言われた事で、今では扉の開閉や別の牛群に混ぜないよう、しっかりチェックして牛の誘導をしています。 |
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また、仕事の終りの見回りに発情のチェックをするのですが、一頭一頭きちんとチェックしないと、発情の発見が遅れて種付けの失敗にもつながるので注意しています。このときに牛がチョロチョロ後を付いてくるのはいいのですが、たまに肩に顔を乗っける牛がいて、もしかしてマウンティングされるんじゃないかとハラハラしながら見回りしています。そういう時は棒で思い切り顔をヒッパタイてあげるのですが、逃げると思っていると逃げない子もいるので、ちょっとイラっとします。 |
心をこめた牛乳の美味しさを感じてください
今後の抱負として、だんだんと仕事に慣れてきて、一人で搾乳する機会も増えてきたので、
・今まで以上にしっかり前搾りすること
・慣れてきたからといって手を抜かないこと
・牛に関して知識をもっと付けること
・酪農をしている事に誇りを持って仕事を続けていくこと
・最近売り出したアイスをたくさんの人に食べていただけるよう
頑張っていきたいと思います。
最後に、自分で牛を育て牛乳を搾るという立場になって初めて、酪農家さんたちの気持ちがこもっていることを実感する事ができ、牛乳ってこんなに美味しかったんだなぁと思って飲めるようになりました。皆様も牛乳を飲むとき、私達の気持ちを感じて飲んでみてくれると、今まで以上に美味しく飲めると思うので、是非感じて飲んでみてください。 |
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