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牛乳は殺菌して飲む事が義務付けられていますが、殺菌温度と時間が、『風味』や『おいしさ』、『成分』に影響を与える事をご存知ですか?
乳の文化の発達したヨーロッパでは、日常飲むための牛乳は、有害な菌を殺し、有用な酵素や乳酸菌を残して、風味を損なわない殺菌方法(パスチャライズ法)が常識です。パスチャライズ法には、63℃30分間と72℃15秒間の方法がありますが、日本では市販の数%しか普及していません。
ヨーロッパでは、保存用の牛乳の殺菌方法として、120℃〜130℃2秒間の超高温滅菌方法(ステアライズ法)も実用化されています。
日本では、戦後大手乳業メーカーが、大量生産に適し、輸送コストがかからない超高温滅菌方法を導入して、日本中の牛乳に普及(95%)させてしまい、現在に至っています。
牛乳は加熱すると加熱臭を生じます。市販の超高温滅菌乳にはイオウのようなにおいがあり、これは、主にたんぱく質が熱変性したにおいです。ノンホモ牛乳は無臭です。
次の表は、殺菌温度別の牛乳のホエータンパク質を比べたものですが、殺菌温度が上がるとかなり熱変性してしまう事が分かります。 |
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牛乳の殺菌温度別タンパク質の熱変性率
(乳技協調べ 91.6) |
ノンホモ |
72℃/15秒間殺菌 |
7.5% |
ホモ |
72℃/15秒間殺菌 |
11.5% |
ホモ |
85℃/15秒間殺菌 |
75.0% |
ホモ |
120℃/2秒間滅菌 |
88.9% |
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超高温滅菌牛乳はホエータンパク質が熱変性するため、栄養価が吸収しづらくなると言われています。
ノンホモ・パスチャライズ牛乳は搾りたてにより近いので、胃の中で酵素と反応し、一旦プリン状にゆるく固まって、徐々に消化される事で良質のタンパク質やカルシウムなどの栄養価が吸収されると言われています。(赤ちゃんが母乳を飲んで、暫らくして吐いた乳が、モロモロに固まっているのがこの現象です)
超高温滅菌牛乳は、ホエータンパク質が熱変性して酵素と反応せず、液体のまま腸へ流れ出てしまうので、栄養価が吸収しづらく、かえって腸に負担がかかってしまいます。
品質の良い、搾ったままの牛乳は、『水に近い』という事をご存知でしょうか。
日本人が牛乳の『におい』と思っているのは、実は超高温滅菌の加熱臭で、飲んだ後、口に膜のようなベタッとした感触が残り、牛乳嫌いの一因となっているようです。
ノンホモ・パスチャライズ牛乳は『におい』もなく、後口もサラッとしています。 |
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