総会報告

 2017年 第41回定期総会報告  (2017年 5月17日開催)
    ★来賓挨拶 大山乳業専務理事 亀田進一さん
★議事  前年度報告・会計報告・新年度予定・新年度予算案・新年度役員・常任委員全て承認されました。
★大山乳業農業協同組合の酪農家 武本正道さんのお話   
 
来賓挨拶 
 本日は第41回定期総会開催、心よりお祝い申し上げます。また、日頃の大山乳業の製品ご利用、改めてお礼申し上げます。
 41年間のそれぞれの時代に、食品等の情報を正確に収集され、的確な分析を加えられまして、皆様の方に情報を提供され、本当に安心安全な食品の購入に多大な苦労をされたと、敬意を表したいと思います。
 大山乳業は昨年70周年を迎え、時代の変化の中、新たなビジョンに取り組み実行していきます。
 
亀田進一
(大山乳業専務理事)
 1つはリーダーを育てること。2つ目には製品のブランド化、3つ目は酪農家を育てていく事を基軸としたグラウンドビジョンを作っております。
 酪農家の激減(かつては1,000軒以上あったのが、今は120軒)対策の一つ、酪農の素晴らしさを伝える「MOTHER」という動画を全国に発信。酪農に興味を持っていただき、一人でも就農につなげたいと支援策を始めたところでございます。
 大山乳業酪農の生乳の特徴をお話します。
 創業以来70年間、「酪農家の心を食卓に届けたい」と「生産」「処理」「販売」の一貫体制を維持しております。また、一県一乳業、鳥取県内全ての酪農家から、まん中にある工場に短時間で生乳が届く。鮮度の高い状態で工場に集乳するのも高品質の要因の一つではと考えています。
職員が1ヶ月に1回、早朝或いは夜遅くにも搾乳時間に合わせ酪農家の所に出向き、牛群検定をしています。大変手間のかかるものですが、1頭1頭の牛の乳量・乳質データをしっかり調べ、きめ細かな対応により素晴らしい牛乳を出すようにしています。昨年で96.1%と日本一の検定率(全国平均は52%程)です。その結果、牛乳の衛生的品質で体細胞数(去年の平均が約15万程、全国平均では多分26万程度)はかなり低く、また、殺菌前の細菌数1万程度と、非常に少ない数値を維持しております。
 一言で言うと、きれいな健康な牛からの生乳だという事をお伝えしたい。
 今後、酪農家の認証制度で、製造生産の精度、品質向上に頑張って取組んでいきます。
皆さんのご利用が、私共酪農家の力の源になります。どうぞご利用いただきますようお願いします。
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生産者のお話 

《私と酪農 こだわり続けて36年》

 本日は総会、大変おめでとうございます。
 また、私達鳥取の酪農家の生産した牛乳をご愛飲頂きまして、誠にありがとうございます。生産者を代表致しましてお礼申し上げます。
 
大山乳業農業協同組合 武本正道さん
 ◆私の農場          

 
 未来ネットの皆さん方同様、私の父も食に非常に興味を持っておりまして、酪農を退職しまして、退職前から夢中になっておりました自然農法で、野菜とお米を作っております。
  野菜は場内に生える雑草を刈り取って、堆肥を作って、土作りをしておりますし、獲れた野菜は小さなスーパーで、小さなブースを設けて頂いて、販売をしております。
 又、お米の方は、秋に稲ワラ、春に米や菜種かすをすき込んで土作りをして、田植えのときには、再生紙マルチという、段ボール紙の様なもの、薄い物を水田に敷きながら、遮光をして雑草が生えないようにして、米作りをしております。 お米も販売をしております。
 私は、酪農を始め36年になります。農場は、鳥取県の中央に位置する、倉吉市の久米ヶ原というところにあります。 30 haの白色コーンを栽培して、経産牛170頭と未経産牛100頭、そして7頭の和牛を飼養して、日量5 tの牛乳を長男と、妻と、4人の正職員で出荷をしておる所です。  日本海に出るのに、農場から15分程度、岡山県に行くのに、25分程度で、鳥取県の一番狭い所でやっております。久米ヶ原という台地は山林を除いて、400 haの畑作です。周りは西瓜農家が多いです。
 私の農場も、四代前から梨を中心とした大規模な農園を経営していたようですが、父の代から果樹を廃業し、昭和36年に乳牛1頭から酪農を始めました。
 私が就農したころは、牛をつないである牛舎で、40頭の経産牛と20頭の育成牛、また、8 haの広畑経営をしておりました。
 ですが、私は学生の時、運動中に脊髄損傷してしまい、オペの後遺症で、13年後に再び歩く事が出来なくなりまして。伝統的な昔のつなぎの牛舎というのは非常に重労働が多くて、搾乳作業の立ちしゃがみが出来なくなり、26歳の時にアメリカ研修で見たスタイルの、農業建設をしようと決めました。
 そこで、平成7年に、鳥取県初の本格的なミルキングパーラーと110頭規模のフリーストール牛舎(牛をつながずに、自由に歩き回れるスペースを持った牛舎の形態)を建設いたしました。
 規模拡大を図るために、経産牛の導入をしなければならず、ずいぶん円高でしたので、カリフォルニアから未経産牛の導入を決めました。 
 しかし、機内感染という事で、病気になっておったようで、40頭を殺処分し、全頭いなくなったものですから、北海道の高価な牛を導入したということを思い出します。
 当時は自家産の牛より導入牛の方が多く、初めてのフリーストールというシステムの牛舎で、管理ということもありまして、今まで経験したことのない蹄病の蔓延に大変苦労しました。
   
  ◆こだわり その1

  場内で乳牛を循環させる 自給飼料を増産する
 私の牧場は、ここ十年以上、乳牛の外部導入は行っておりません。牛の組成が完全に把握できることと、また外部導入による病気などの感染リスクを低減させるためにしております。
 平成11年に育成牛、子牛たちのフリーストール牛舎の建設をして、育成牧場には預けずに場内で、すべての乳牛を育てていますので、感染症もなく快適に作業をしております。
 私の農場では30haの飼料用コーンを栽培していますが、私には農地を利用した循環型の酪農でなければならないという強いこだわりがあります。
 現在、搾乳牛1頭あたり23kgのコーンサイレージを給与しております。


 
 昨年、市の生産組合、組織である倉吉コントラクター組合をさらに充実させるために、合同会社に組織変更を行いまして、コーンサイレージの販売も始めました。今後とも、農地の拡大を計って、自給飼料を増産増給する予定です。
 今年の種まきの状況です。
 上の写真は、ぼくの長男が乗っております。 いいトラクターを買ってあげたらよく働くようになりました。
 こちらは、とうもろこしを収穫する専用機でありまして、後にワゴンをひっぱっておるタイプであります。5分でダンプトラック1杯分の仕事ができます。

 ま、こんなことをして収穫をしております。
◆こだわり その2     戻し堆肥
 コーンを栽培する有機肥料も大切なんですが、フリーストール牛舎でのベッドで使用する戻し堆肥は乳質向上のため大変重要であります。
 私の農場では一周200mのエンドレスの発酵槽で、3週間から6週間かけて一次発酵させて、次に水分調整ラインで数日間かけて調整しています。またバンカーに堆積して70℃前後になるように切り返しをしてから、最後に家畜保健所で大腸菌検査をして菌数が千の単位になったことを確認してから、ベッドに投入しています。
 さらに、消石灰を撒布して、菌の増殖を抑えております。
 搾乳の技術も大切ですが、ベッドの管理も体細胞数減少のために大変重要になっております。堆肥の減ったところに、堆肥をベッドの上に置いて、今、均平板で堆肥をならしておるというところです。 
    
◆こだわり その3

クローズアップ期前(お産前3週間)にイオンバランスを取る
 私が規模拡大をした20年前、購入牧草の使用量が増えたということもありまして、草のロットがどんどん変わってしまい、飼料の摂取量が安定せず、もう大変困りました。
 TMR(total mixed rations:混合飼料)ですね。私はアメリカの畑で、牧草を選ぶことができないのかと馬の飼料を輸入しておる業者さんに相談しました。牧草の買い付けに10年間に渡って業者さんに同行するようになり、顔なじみのアメリカの農家さんから飼料が届くようになって、大変快適に酪農しております。
 15年程前でしょうか。お産前3週間、21日前からの管理で、イオンバランスというものを取れば産後の疾病が飛躍的に改善するという方法が確定しつつありました。フリーストールを始めてから、私も3年目になって、産後の牛が次々と低カルシウム血症という症状を起こして起立不能になって、最後は廃用となってしまったという苦い経験があります。
 そこで、私が酪農するのに大変お世話になっておる機関があります。畜産試験場と言いますが、購入飼料も自給飼料も、近赤外線分析で栄養価などを測って、ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)という機械でミネラルを分析していただいて、それをもとにイオンバランスをとって飼料設計するということで、産後の疾病は、ほぼ、もうありません。ほんとに快適になりました。
  これは搾乳牛の方のシートです。TMRの栄養価が設計書と実際が食い違ってないかの確認です。ほぼ正しいです。
 で、この下の方がミネラルの部分です。陽イオンだの、陰イオンだのっていう、そこのミネラルの部分がどれだけ入っているかということです。
 その餌のpHがどれぐらいのものになっているかということです。硝酸体窒素っていう、硝酸体窒素も多いと、いろんな障害が出ますので、適度な硝酸体でないといけないということであります。
 お産前3週間に使う牧草は、チモシーといいます。通常、このチモシーっていうのは一番陽イオンを示します。このカリウムが2前後あります。通常0.6ぐらいだと思います。0.65とか、まあ、通常の1/3程度の陽イオンしか含有しない草を、そういう農家をみつけたんです、アメリカで。で、そこから、同じ農家、同じ地域から来るようになりました。
◆こだわり その4
夏場はクールバーンとシャワーと送風
 我々の中ではこれをカウコンフォートと言っています。
 鳥取の夏はとても暑く、湿度も非常に高いです。牛にとって快適とは言えませんので、暑熱対策が必要となります。
私の農場では屋根を二重構造にして、断熱材を入れることで、屋根からの熱を遮断して、ファンの送風はもとより、クールバーンというものを建設しました。1日に4回に分けて、クールバーンでシャワーを浴びさせて、暑い夏を快適に過ごさせています。
 野菜の潅水チューブをひっくり返して、下に向けて滝のように牛を濡らしております。
 今64頭入れるシャワールームになっていますけど、まだ40頭ぐらい入れる大きなものを作っています。搾乳するときに一時待機する場所でも体を濡らしてあげて、クーリングしてあげるというふうにしています。快適になっておると思います。
◆白バラ認証制度

        
 最後になりますけれども、大山乳業は白バラ認証制度に取り組もうとしております。この制度はこれから大山乳業の根幹となるものと認識をしております。
 今年2017年度がスタートの年となりまして、一年をかけて運用し易いものとなるように、調整していきます。そして、2018年度に運用開始となりますが、その内容はフードディフェンスを意識した、主要環境の点検整備に活用できるものでありまして、安全で高品質な生乳の維持拡大を目的としております。
 この制度では牛舎内外の3S(スリーエス)、整理、整頓、清掃を確認し、改善することで、作業環境がよくなり、働きやすく効率がよくなることを提案しております。また、薬品や農薬の管理について、再確認することで、安全安心を担保とし、衛生管理を行います。
 最大の目玉となりますのは、バルクの乳を追跡する自記温度計を新たに全戸に導入することで、生産現場からお客様に届くまでのコールドチェーンをより確実なものになるように、品温管理を行うことです。この認証に裏付けされた高品質な生乳を利用することで、消費に対する共感や信頼を得て、お客様に、白バラというイメージを、商品価値を上げる力を持つブランド、として再構築したいと考えております。
 今後とも、白バラ牛乳のご愛飲を、ますますのご愛飲をお願いして、終了と致します。
 本日はお招きいただきましてありがとうございました。

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