講演報告


未来ネットでは、毎年2回、安心な食べ物や暮らしの情報、環境問題など、それぞれのエキスパートを招いて講演会を行なっています。講演会に参加した報告をまとめました。報告レポート内の各グラフ・表はクリックしていただくと拡大します。

よつ葉のつどい2007講演会
★牛乳有害論に反論する★
講師 仁木良哉さん(北海道大学名誉教授)

★オール電化と身近な電磁波★
2006 7/4 名古屋市民会館 講師 荻野晃也さん

よつ葉のつどい2006報告

よつ葉のつどい2006講演会
★牛乳の秘めたるパワーを科学する★
講師 上野川 修一さん
東大を退官後日大生物資源科学部教授/食品安全委員会/新食品専門調査会の座長

よつ葉のつどい2005ミニ講演会
★牛乳摂取量は健康のバロメーター★
講師 よつ葉乳業中央研究所 片野直哉主任研究員

★「食べてはいけないアメリカ産牛肉」★
2005 11/8日進市民会館11/9中小企業センター 石黒昌孝さん

★野菜が危ない! 拡がるGMナタネ★
―ずさんな安全性審査―

2005 9/12 河田昌東さん(四日市大学講師)

★狂牛病が問いかけたもの★
2005 3/15 講師 青山学院大学理工学部
化学・生命科学科教授 福岡 伸一さん

【間違っていた!?これまでの栄養指導「生活習慣病」予防に新展開!】
★高リノール酸油から高α−リノレン酸油へ」★
2004 7/6 講師 名古屋市立大学教授  奥山治美さん

★コレステロール値は高いほど長生きする★
2004 7/6 講師 富山医科薬科大学 和漢薬研究所 浜崎智仁教授

よつ葉のつどいミニ講演会
★健康に役立つ牛乳と乳製品★
講師 よつ葉乳業中央研究所 片野直哉主任研究員



牛乳有害論に反論する
 仁木さん 2007 7/4
 講師 仁木良哉さん
(北海道大学名誉教授)
07年最初のつどいとして、牛乳タンパク質特にカゼインタンパクの研究をしておられる仁木さんをお迎えし、牛乳の持つ素晴らしさと、話題になった「病気にならない生き方」(新谷弘美著)の中の牛乳有害論の反論を解説していただきました。

◆―乳とは― 
 乳というのは哺乳動物のお母さんの乳房―生体内で作られる唯一の食べ物で、その成分は動物の種類によって異なりますが、栄養素だけでなく防御体制も含めて、各動物の新生児にとって完全食品と言えます。

◆―牛乳とは― 
 乳牛には、一般的なホルスタイン種のほか、濃厚な乳を出すジャージー種もあります。主なのはホルスタインです。分娩直後、季節、飼料の変化によって脂肪分や色が変わります。とはいえ、生体内で作られているのに非常に安定した成分を持っている事は、食品として優れていると思います。
 乳の主な炭水化物は乳糖ですが、哺乳動物の乳に特徴的な糖で、他にはありません。腸内細菌の発育を助け、整腸作用を持っています。カルシウムの吸収を助けるという報告もあります。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするとか、下痢をする乳糖不耐症は人種によって発症率が違い、牛乳を良く利用する国や民族は乳糖不耐症に罹り難いのです。中国人の発症率は95%ですが、豪州生まれの中国人は56%位です。ある程度牛乳を飲み続けると発症率を抑える事が出来るのではという事が分かります。不耐症の人は少しずつ飲むなり、乳糖が分解されているヨーグルトやチーズを食べるなり、摂り続けていただくことが一つかなと思います。
 最近、牛乳を飲まない理由の一つに、太るからという事がよく言われています。乳中の脂肪が気になるのでしょうが、200cc飲んでも1日1800calで計算すると8%位です。また乳中のコレステロールが血管、心臓の病気に繋がると思われていますが、そうではなく、血管や神経細胞にはこれが必要なのです。牛乳200ccくらいなら心配する事はないのです。
 表2(クリックして拡大) 牛乳のタンパク質は有効なアミノ酸を含んでいます。牛乳タンパクの80%が、カゼインタンパクですが、牛乳の中のカルシウムの3分の2が、この中に含まれていて、カルシウムの運び屋と考えられています。コロイド性リン酸カルシウムという形で存在し、骨のカルシウムとリンの存在状態と割合が非常に近いので、理想的だと言われています。また粒子も非常に小さくて、消化しやすいということです。
タンパク質を構成するアミノ酸はたった20種類しかありません。そのうち9種類は人間の生体内では作れません。その必須アミノ酸が、どのくらい含まれるかで、タンパク質の価値が決まるのですが、牛乳の場合はほとんど100%です。
 表2(クリックして拡大) ところが、植物性のタンパク質は、欠損部分があります。牛乳と米を組み合わせて食べれば、足りない所が補給され、お米の価値も変わり、飛躍的にタンパク質の価値を上げるということになります。(→右図解説 米を桶に例えると、板の低いところがタンパク質の欠損部分。牛乳を組み合わせることで、水がこぼれなくなる)

牛乳を200cc飲むとカルシウムは1日所要量の38%補給できます。牛乳の場合40%、野菜の2倍ぐらい吸収され、カルシウムの存在状態が、吸収されるのに都合が良いということです。
「牛乳有害論」への反論
実はこれがくだんの「病気にならない生き方」で、新谷弘美さんというアメリカに住んでいる内視鏡の専門医が書いた本です。
内容は、牛乳のタンパク質は消化が悪い、牛乳を飲むと骨粗鬆症になる、牛乳の脂肪は、錆びた脂肪である。市販の牛乳をのますと仔牛が死ぬ、牛乳は仔牛のものだから人間が飲むと摂理に反する、という話です。
彼の札幌での講演を聞いたのですけど、患者の胃を内視鏡で直接見て、問診で「何を食べていますか」と聞いた結果だけで、短絡的に牛乳は悪いと言っているんです。
みなさんは、フードファディズムという言葉を聞かれたことが、あるでしょうか。食べ物や食品成分の健康への影響について、科学的検証を加えずに、過大もしくは過小評価して、宣伝したり、食品に対していたずらに不安をあおり立てる風潮です。
最近では、捏造までした納豆事件なども含めて、これは群馬大学の高橋久仁子先生が提唱して、今の健康食品ブームなどに警鐘を与えています。

◆牛乳のタンパク質は消化が悪い ←への反論 
アミノ酸が20個位で、それぞれの特有の機能のあるタンパク質を作っていますが、そのまま生体内には入らないです。アレルギーの元になります。胃の中で、次々とタンパクを切る酵素が働き、最終的にアミノ酸となって、体の中に吸収します。
タンパク質は、加熱すると構造が壊れます。生の肉よりも焼いた方が消化が良いというわけです。ところが、カゼインは、最初から新生児に食べてもらいやすい状態になっているのです。それなのに、彼は消化が悪いといっているのです。

◆牛乳が、胃で凝固するから消化が悪い ←への反論 
実際に、子供が乳を飲んだ時に、嘔吐すると、全部固まって出てきます。カゼインは、pH4.6ぐらいのpHにすると固まるんです。固まらないカゼインはどこにもないのです。胃の中では、胃酸が出ますから、そこで沈殿するということになります。固まるから、消化に悪いっていうことはありません。

◆牛乳は健康によくない ←への反論
新谷さんの本の根拠となった出典(ハーバード大学の8万人、12年間に及ぶ研究)で、原文を調べて見ましたが、牛乳を多く飲むと骨粗鬆症になるとは、どこにも書いてありませんでした。
25年間に出された139の論文の分析(ヘンリーによる)では、ほとんどの論文が、牛乳は健康にいいとしています。悪いというのは、たった二つだけです。
彼は、アメリカの医学部の教授ですから、論文を読み違えるはずが無いでしょう。なにか作為的にという感じがしてしまいます。

◆牛乳を多く飲むと、骨粗鬆症になる ←への反論
骨は、成人になると変らないと、思われていますが、毎日毎日骨の成分は入れ替わっています。壊れる時にカルシウムを出して、また骨を形成するので、カルシウムが必要になるわけです。外から補給されなかったら、骨粗鬆症になります。
年齢と骨密度の変化の関係です。30歳ぐらいまで骨密度が上がっていって、そこからは下がり続けます。特に女の方はホルモンとの関係で閉経後は急に落ちてきてしまうのです。

表1 表2(クリックして拡大) 体の中のカルシウムは、99%が骨に含まれ、残り1%が血液の中にあります。その血中の1%が変化に対して非常に敏感で、生体がコントロールしているのです。だから、血中のカルシウムが減り補給するものがなければ、骨を溶かすことになります。
それと、20代までが非常にカルシウムを骨に沈着する比率が高いので、この時期には、ぜひお子さんお孫さんには、カルシウムをたくさん摂ってほしいものです。もし補給しなければ、骨密度は、上がらないわけですから。

◆さびた牛乳 牛乳中の脂肪は酸化されやすい ←への反論 
 牛乳中の脂肪は、外側は親水性・内側は脂肪に溶けやすい性質になったミセルという状態になっています。皆さんの飲んでいるノンホモジナイズド牛乳では、クリームが浮きますね。一般市販の多くはホモジナイズしてあるので、上に浮かず、牛乳中に均一に分散しています。

表2 表2(クリックして拡大)
脂肪球模式図
 牛乳中の脂肪は、外側は親水性・内側は脂肪に溶けやすい性質になったミセルという状態になっています。皆さんの飲んでいるノンホモジナイズド牛乳では、クリームとなって浮きますね。一般に市販されている牛乳の多くはホモジナイズしてあるので、上に浮かず、牛乳中に均一に分散しています。
一つ一つの脂肪球はタンパクの膜に包まれています。例えば、料理で揚げたりする時には油と酸素が接触するので酸化しますが、牛乳中の脂肪は、酸素と接触する機会は非常に少ないのです。しかも、酸化するのは、一部にある二重結合*の部分なのですが、その二重結合が非常に少ないのです。少しでも科学を勉強した人なら、乳脂肪は酸化されにくいと分かっています。
新谷さんが言われる「さびた牛乳」というような酸化脂肪に変化はしないんです。

*二重結合
炭素原子の二重結合を一つも含まない脂肪は飽和脂肪酸、一つの二重結合をもつ脂肪が一価不飽和脂肪酸、二つかそれ以上の二重結合をもつ脂肪が多価不飽和脂肪酸、と呼ばれています。
◆ヨーグルトはよくない食べ物 ←への反論 
 ヨーグルトは、昔から利用されている保存食です。牛乳に、できるだけ早く乳酸菌を繁殖させると、雑菌は増えません。長い間そうしてきた食文化のひとつです。私の専門ではありませんが、ヨーグルトには(牛乳や他の乳製品も)いろいろな効果があると、専門家が科学的に証明しています。

◆牛乳を飲ませると子牛が死ぬ ←への反論 
 親は、子どもが病気にならないように胎盤を通じて胎児に免疫物質を渡します。牛の場合も初乳に含まれていますから、生まれてすぐの仔牛に2リットル〜3リットル初乳を飲ませるのは、農家では常識です。初乳に含まれている免疫グロブリンは、1日経たないうちに1/10のとか1/20に減ってしまいます。加熱すると、ほとんど失活しますから、常識的に、市乳を飲ませるような人はいません。

◆摂理に反する ←への反論 
 自然界のルールは弱肉強食、力で支配していますが、人間だけは農業や牧畜をしていて、他の食物連鎖からはずれています。牛は、草からたんぱく質やビタミンを作れ、しかも殺さないで私たちはミルクがもらえる。長い間食べ物を安定的に供給してきました。何も食べないで生きていけない私たち人間は、草でタンパク質は作れません。摂理に反するとは言えないですね。

◆牛乳の有用性 
エネルギーでいうと、カロリーは低いのに他の成分をバランスよく含み、タンパク質・カルシウムは効率的に摂取できます。
 大豆からも、いい食品が出来ますが、それと比較しても負けない沢山の食べ物ができます。牛乳は、チーズ、ヨーグルトなど、おいしい食べ物を供給してくれるのです。牛乳は人間にとって完全食品ではない。が極めて優れた食べ物であるといえます。
 今、健康食品ブームになっていますが、食べ物は薬ではありません。何に効くとかいうものではありません。ありふれた言い方になりますが、ひとつの食品で全部を網羅する事はできっこありません。いろいろな種類の食品を組み合わせながらバランスをとって・・・即効は期待しないで長いスパンで考えてください。
私は、牛乳が好きでずっと飲んできています。これからも、バランスの良い食品、牛乳をよろしくお願いします。
会場でのQ&A
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Q1
 乳タンパクの約2割を占めるホエイタンパク質は、120℃殺菌(2秒間)の UHT(超高温滅菌)牛乳では熱変性しますか? HTST(高温短時間殺菌)牛乳との差がありますか?

A1 ホエイタンパク質は、加熱すると熱変性します。熱変性は、加熱温度が高いほどおき易くなります。HTST殺菌では数%のホエイタンパクが変性し、一方、UHT滅菌では50〜90%のホエイタンパクが変性するといわれています。
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Q2 ヨーグルトを作る際、低温殺菌では、固まりにくいのは、ホエイが関係するのでしょうか?

A2 ヨーグルトの原料乳は、85〜95℃で10〜40分間殺菌されます。この殺菌で、牛乳中のカゼイン表面にホエイタンパク質、主にβ―グロブリンが吸着します。このカゼインミセルの表面の変化が、乳酸発酵による牛乳の凝固(ゲル化)を促進すると考えられています。一方、低温殺菌やHTST殺菌牛乳では、ホエイタンパク質が表面に吸着しておらず、凝固が促進されません。結果的に軟らかいヨーグルトになります。
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オール電化と身近な電磁波
2006 7/4 講師 荻野晃也さん 名古屋市民会館
(元京都大学講師:電磁波環境研究所所長 理学博士)
 10年前に家電・送電線の問題点をここで一度お話しました。携帯電話の問題は、はまだ一般的に知られていなかったですね。10年経て、携帯電話の問題が言われるようになりました。 
表1 電化説明 
《 高周波 》  高周波の影響で植物に異変 
 名古屋で一番の話題は瀬戸のデジタルタワー。写真週刊誌フライデー(05.8)で「タワーの北側の空き地に咲くひまわりが全部北を向いている」と報じられた。普通ひまわりは南を向いて咲くものです。私は現地まで出かけて確かめましたが、原因は何でか分りません。
 この現象については、フェロシルト(放射性物質が入っている陶土)が原因だと思わせている報道もありますが、北を向くのは放射能が原因じゃないですね。現地ではフェロシルトが入っていないところでも北向いて咲いていましたから。
 遺伝変化かどうか確かめたくて、花から未熟な種をとってきて植えたけれど芽が出ませんでした。この後でも機会があれば、行って見てこようと思っています。わたしは実証主義です。
 長野県伊那市では、携帯タワーから100〜300m辺りに花や植物に異変(奇形)が多発しています。ヒトへの健康障害も報告されています。原因ははっきりしていませんが。
 みなさん、異常なことが起こった場合、遺伝子が変わってしまったのか、それとも発現(一代のみ変化)だけなのか見極める事が大切です。
 「高周波がヒトの細胞の遺伝子発現を変える」というシカゴ大学の研究があります。たとえばひまわりが北を向くというというのも、反対側の茎を伸ばす蛋白質が形成されるので傾く向きが変わる。サリドマイド禍で例えると、ちょうど手ができる時に1粒薬飲んだので、できるべき手が出来なかった。 
 遺伝子が変わったのではなく、発現がかわった。そうなると、あるはずがないと言い切る保証はできません。
《 低周波 》  電磁波症候群 
 高周波同様、低周波の健康影響は、いっぱいあります。 
 50〜60年前にはなかったアトピーアレルギー増えていますね。食べ物とか環境悪化が関係しているでしょう。携帯の電磁波が、アトピー湿疹皮膚炎に影響するという論文(京都の木俣医師他)が出てきたのも2002〜05年。携帯を首に下げ、外からコールすると、(湿疹の大きさを測っておいて)大きくなる。血液にも影響があるが、アレルギー性鼻炎の人は影響しない。
 外国のテレビからラジオから取材の電話があったが、日本はまったくない。その理由は、日本のマスコミはテレビで儲けているからです。
 日本の基準は、20年前の’87年の報告書で決めたものです。こんな高いのはだめだと問題になりました。WHO世界保健機関では今、基準つくりを進めています。2007年、携帯など高周波の基準値が発表される予定になっています。その間にどんどん携帯電話は売れています。基準値ができていないのに、最近では子どもに持たせるキッズ携帯を宣伝しています。困ったもんです。
《 低周波 》  電磁波症候群 
 高周波同様、低周波の健康影響は、いっぱいあります。 
 50〜60年前にはなかったアトピーアレルギー増えていますね。食べ物とか環境悪化が関係しているでしょう。携帯の電磁波が、アトピー湿疹皮膚炎に影響するという論文(京都の木俣医師他)が出てきたのも2002〜05年。携帯を首に下げ、外からコールすると、(湿疹の大きさを測っておいて)大きくなる。血液にも影響があるが、アレルギー性鼻炎の人は影響しない。
 外国のテレビからラジオから取材の電話があったが、日本はまったくない。その理由は、日本のマスコミはテレビで儲けているからです。
 日本の基準は、20年前の’87年の報告書で決めたものです。こんな高いのはだめだと問題になりました。WHO世界保健機関では今、基準つくりを進めています。2007年、携帯など高周波の基準値が発表される予定になっています。その間にどんどん携帯電話は売れています。基準値ができていないのに、最近では子どもに持たせるキッズ携帯を宣伝しています。困ったもんです。
《 交流磁場 》 数ミリガウスが問題になっている 
 地球にも磁場が500ミリガウス(mG)もあるから、たいしたことないですよと電気会社はいいます。地球は静磁場で問題はありません。電気は交流の※変動磁場で、その数mGが問題になっています。
 例えば、床暖房の床で170mG。こんなところで寝かせていたら、赤ちゃんの頭に直撃。ほんとに大丈夫か? 電場も結構強いです。ACコードを、せめて電場を減らすために3本足にしてあるか(外国は3本足)。1本はアースにしたら、簡単に電場をゼロにできます。日本はアース線をひいていません。国やメーカーがケチったばかりにね。このツケがこれから来るでしょう。
※用語解説/交流の電気が流れると、電場と磁場が生じる
《 家電低周波 》 被曝を防ぐには? 距離・時間  
 ヒトの体は電流通しやすいですが、磁場は流れないで入り込みますから影響あると思います。しかし、ほとんど研究報告がありません。電気を使えば磁場が生じますが、1m離れれば大丈夫。
・点灯管ついてる昔の蛍光灯の100w蛍光灯安定器が強い。今はインバータがついているので、あまり問題とはなりません。
・100w(ワット)の電球は中にコイルが巻いてあって、2重に巻くことによって、でてくる電磁波が軽減される。コイルを巻く形にして、磁場も電場も低減する電気毛布や電気カーペットが商品化されています。
 今の電磁波で1mG以下になる距離は、テレビは50p〜1m。
 0.1mG以下なら安全と考えてもいい。大都会では0.1mG以下は無理でしょう。我が家では0.5mGまでなら防御可能ですが。
 数mGまではグレーゾーンですが、しょうがない。もっと問題は非熱作用です。
《 オール電化 》 特に強いIH調理器は問題  
 オール電化が広がったのは、産業経済省、文部省、通産省から補助金出る。オール電化で家を作れば、建築業界でもバックペイ入る。温暖化と言いながらも、一方で政策は原発があるからどんどん電気を使えと言う路線です。
 IHクッキングは、強いですね。子どもの頭や妊婦のお腹のあたり弱い場所に直撃ですね。1mG以下になるには2mも離れなくてはならない。ほとんど高層マンションはオール電化です。
 高層マンションでは、天然ガスは上に上がると、分離して水素ガスが溜まって危ないというのが理由。でもリサーバタンクで対策すればガスも可能です。実際、ガスの使える高層マンションもあります。
《 携帯電話 》 頭に電子レンジ?  
 携帯電話は、世界中で20億台も使う時代がこんなに早く来るとは思わなかった。携帯電話は、頭の横に小さな電子レンジを使っているようなもので、頭と共鳴しやすいです。8〜20億サイクルの高周波に何らかの低周波の変調を混入した電磁波で圧縮技術も使われている。
 ラジオ波やTV波などは全部低周波で変調しています。またデジタル化されますから電波の形も複雑になっていて、問題が混在しています。これらの影響が問い直されていますが、その影響研究はほとんどやられていません。
表2 表2(クリックして拡大) 携帯電磁波の脳への影響:熱作用 
表2/大人
表3/10歳児

例) コップに水と氷を入れて1分間電子レンジでチンしてください、同じH 2O、だけど、水だけ熱くなりますが氷は全然。水と氷だけでこれだけ違いますのに、熱の効果だけ研究され基準が※SAR値(熱吸収比)のみです。体への影響はぜんぜん研究されていません。細胞レベルで脳の小さな組織に影響するかもしれないので、子どもの携帯は止めてほしいと思っています。イギリスは子どもには持たせないと決めました。日本では法律ができると、それ以下は100%安全となってそれが通ってしまう。
表3 表3(クリックして拡大)
 WHOでも基準に取り入れるか議論されているのに、日本は基準づくりも、参考にしたのは90年以前の古い論文で2,000年に慌てて法制化してました。それ以降、研究論文がすごく増えてきています。携帯が広がる前にやらなきゃいかんですよ。

※単位
電力密度/高周波は電波が1平方に何ミリワット(マイクロワット)くるか。mW/m2
SAR値/[エネルギー吸収比]空中の電波が熱に変わる熱の単位。地上から10p上がった子どもの足首での温度が1℃上がる値
《 子ども・脳への影響 》  カルシウムの漏洩   
 カルシウムは、生命維持に大変重要な働きをしています。神経伝達や生殖にも関係していますからこれが漏洩するのは大問題。(75年、鶏に変調電磁波16サイクルを与えると脳細胞からカルシウムが溶け出しカリウムイオンが入り込むと言う研究がある)
16サイクル変調波は、脳に影響を与える電磁波です。
 「一番ショックを受けたのがポケモン事件。テレビが1秒間に15回パカパカやったら、1000人ぐらいのこどもがてんかん発作。子どもの神経カルシウムがおかしくなったと思いましたよ。研究論文に出てくるゲームてんかんは日本製ばかりです。

脳内ホルモンにも影響 
 脳内ホルモン(メラトニン・セロトニン・ドーパミン)の中でもメラトニンはガンや体の酸化を抑制したり、体内カルシウム濃度を一定にしたり、睡眠をコントロールするなど、大変重要な役割がわかってきた。同時に成長ホルモンも関係しています。アメリカの女性の死因トップの乳がんですが、深夜勤務に多いという論文、これもメラトニンが関係しています。
 神経細胞の隙間にカルシウムイオンが付いたものが電子信号として伝えていますが、カルシウムイオンはガンとも関連し、制御しているのではないかという事も分かってきました。

BBB血液脳関門
 脳は重要な組織なので、栄養を送る大量の血液がいくため、関所を設けて金属などが入らないようにしています。これが携帯の電磁波で崩れてしまいます。発育途上の若者に、数十年後影響が出る可能性を否定できません。
《 疫学調査 》  小児ガン小児白血病と送電線  
 98年アメリカが調べた疫学研究。ワルトハイマ−論文(配電線近くの小児白血病が増加)以来、61件の報告があります。日本の厚労省が7億円かけて、送電線配電線との関連性の疫学調査した結果が影響ありでした。小児急性リンパ性白血病 4mG以上で4.73倍。小児脳腫瘍が10.6倍。送電線から50m以内は約3倍に増えているのに、評価委員会すべてにオールC最低の評価でした。産業省通産省は、そんな低い評価の研究には左右されないと新聞にすら出ませんでした。
表4 表2(クリックして拡大)  去年英国のブリティッシュメディカルジャーナルの表紙には「送電線は子どもをガンにするかもしれない」とはっきり出ました。これほど国によって差があります。
 日本は携帯電話どんどん増えていて、悲しいことに、病院の上にまで中継塔が建っています。
携帯タワー周辺の健康障害 
 ドイツでは、0.001μW/cm2 以下でもいろいろな症状※がでています。ですから、それ以下でないと安全といえないんではないか。ヨーロッパなどでは、日本(1,000μW/cm2 )に比べ、はるかに厳しい数万倍以上の値を勧告しています。電磁波過敏症の方が、どうもいるようですが、20億台も使っていますから、過敏症の人は無視状態です。携帯問題は90年代のアスベストと同様、何年か後に問題が明らかになってくるでしょう。
 放送タワー周辺の疫学調査(96年~04年)でも、小児ガンや大人の白血病の増加との報告されたものが13件もあります。携帯タワー周辺でも要注意です。
 生殖にも影響与えてるようです。流産や性別にも影響してるようで、流産死の性別をみると、かなりの差(女100:男230)があるが、原因は分からないです。
自然界でも、コウノトリ等の繁殖にも影響の報告があります。
2000年にEUは環境問題は「予防原則」でいくと決めました。対処すれば避けられます。

疫学研究のみならず、遺伝子レベル・細胞レベルの悪影響が増えているのですから、「危険な可能性が高い」と考えて、「予防原則」思想で対処する必要があると考えています。
牛乳摂取量は健康のバロメーター
2005 講師 よつ葉乳業中央研究所 片野直哉主任研究員
 日頃はよつ葉の牛乳乳製品をご愛顧頂きありがとうございます。牛乳乳製品に含まれる健康増進効果のある物質について説明させて頂きます。
乳とは?
 元来、肉、魚、卵、野菜など食品の大半は食べられる為に存在しているのではなく、我々がそれらの命を殺して食べているだけです。しかし、乳は、食べた者を育てる為に存在する唯一の食品です。乳はどのように作られるのでしょうか?
 牛のおっぱいの乳腺細胞という細胞に血液が供給され、血液中のブドウ糖から乳糖、アミノ酸から乳蛋白質が作られるとういう具合に乳になり、約900gの血液から1gの乳が作られると云われています。ですから血液の状態が悪くなるだけで乳質が落ちてしまう。つまり牛の健康状態に左右されるのが牛乳の特徴です。
 《よつ葉ノンホモ牛乳の特徴は》
 @NON-GM飼料を使っていること。A殺菌条件が必要最低限の72℃15秒間の為、生乳に近い風味とさらっとした食感であること。Bノンホモジナイズ―乳中の脂肪球の大きさをそのまま保つので、水より軽く静置しておくとクリーム層ができる。(市販の牛乳は脂肪球を1/10に機械で砕くので比重差がなくなりクリーム層は出来ない。)ということです。

☆ノンホモ牛乳の素晴らしさ
脂肪球が傷ついていないため酸化されにくく保存性に優れています。
ゆっくり消化・吸収されるので胃腸への負担が少ないのです。又栄養成分の損失が少なく、乳酸菌や酵素も生きてます。
骨粗鬆症とは
 人間の骨量は幼児期から増え、20歳位で頂点に達し40代半ば迄維持され、その後減っていきます。その減り具合が70%未満の場合、もしくは70%以上でも軽いストレスで折れてしまう圧迫骨折の場合を、「骨粗鬆症」といいます。国内では1千万人、その内80%が女性です。骨というのは絶え間なく生まれ変わっています。破骨細胞と呼ばれる細胞があり骨を溶かしてこの分のカルシウム(以下Ca)を血液の方へ移行させます。これを骨吸収といいます。一方溶けた部分にコラーゲンの層が出来て、そこに骨芽細胞と呼ばれる細胞がヒドロキシアパタイトの結晶をつくります。これを骨形成といいます。骨吸収と骨形成が常に起こり骨量を保っています。
 何故保つのか?それは血中のCa濃度(100ml中10r)を一定にする為です。Caは体重の2%を占めるミネラルです。その内の99%は骨や歯に含まれ骨格や歯の強度の維持をし、1%は血液や細胞に含まれて血液凝固、神経伝達、筋肉収縮に関与しているので、多くても少なくても生命維持が出来なくなります。故に99%のCaの役割は強度維持よりも濃度維持の為の貯蔵源といえます。
 食品として摂取したCaは体内で吸収・排出を繰り返し、摂取が多い場合は骨に蓄積されますが、多くは排出されてしまいます。足りないと維持しようと骨から取り出してしまいます。
 また、Caの一定維持には女性ホルモンに拠るところが大きくエストロゲン、カルシニンは骨形成を、パラソルモンは骨吸収を促進します。また活性型ビタミンDも腎臓や腸管でのCa吸収等に作用します。女性の場合、閉経後ホルモンバランスがくずれ、骨形成・吸収が潤滑に行かず、骨粗鬆症になりやすいのです。
骨粗鬆症を予防するには?
*十分なCa摂取を!
*骨形成を促進する栄養素も一緒にとる!
 ビタミンD…活性型ビタミンの原料で.
魚介類に含まれる他、日光浴で体内でも合成できる。
 ビタミンK…骨粗鬆症の治療薬として使われる。納豆、野菜等に含まれる。
 イソフラボン…エストロゲンに構造が似ているので同じ働きをする。大豆等に含まれる。
*十分な運動…骨は運動して負荷を与えないと減少する。
日本人のCa摂取の現状は?
 日本の成人1日当りのCa摂取目標値は600mg、実際の摂取量は平均550mg。アメリカでは成人は1000mg、老人はもっと摂るように言われています。600mgは満点ではなく、あくまで合格点でしかないのです。日本人はそれさえ満たせていないのです。
 なぜ、日本人はこんなにCa摂取量が少ないのでしょうか?
 ずばり、乳・乳製品の摂取量が少ないからです。
牛乳って、こんなにすごい!
 牛乳100ml中にはCaが110mgも含まれ、しかもCa吸収を促進する物質も含まれています。牛乳中の乳蛋白はCaと緩く結合し、不溶化を防ぎ小腸での吸収を促進します。乳糖は腸壁のCaの透過性を高め吸収を促進します。その上とっても手軽で摂りやすい!他の食品で同量のCaを摂ろうとすると桜海老コップ1杯、小松菜1束が必要です。そんなに食べられませんよね。
 こんな優れた食品ですが、日本人は一人平均98mlの牛乳しか摂取していません。あとコップ1杯の牛乳をプラスして下さい。たったそれだけでCa摂取量が合格点をクリアできるのです!
 《バターは体に悪いノこれ本当?》
 量が一緒であれば、カロリーは殆ど変わりません。なぜバターのイメージが悪いのかというと、コレステロールが含まれているからです。コレステロールって本当に有害なの?
 コレステロールはヒトの必須成分で、細胞膜(細胞膜に強度を与える)、性ホルモンや胆汁酸(脂肪を消化吸収する)等を構成しています。ヒトにとって必須成分なので、8割は体内で作られ2割を食品から摂っています。食品からのコレステロール量が増えても、直にコレステロールが上昇することはありません。体内合成の調整によって一定に保たれるメカニズムがあるからです。
 コレステロールは油なので血液や水には溶けません。蛋白に包まれた状態(リポ蛋白)で血中に浮かんで体内を循環しています。このリポ蛋白の中で肝臓から末梢神経にコレステロールを運ぶものをLDL、末梢神経で余ったコレステロールを肝臓に再度取り込むものをHDLと呼びます。よく悪玉(LDL)、善玉(HDL)と言われますが、コレステロールは単一の物質でどちらも立派な役割を果たしているのです。悪も善もありません。相対的にLDLが多いと末梢神経にたまりやすいのでは?ということで、悪玉などと呼ばれるようになりました。
 日本では総コレステロール値220mg/dl以上を高コレステロール血症と呼びます。男性は28.8%、女性では35.5%もいますが、総死亡率をみると220mg/dlから240mg/dlの人が最低です。癌による死亡率では、むしろコレステロールの高い方が低くなり、この220mg/dlという基準設定の仕方がまずかったのではと反省され、近々240mg/dl以上に直される予定もあります。正しい知識で適切なコレステロール摂取をしましょう。

☆コレステロールが嫌われ者になる原因となった実験
 100年程前のロシアのニコライ・アニチワが、兎にコレステロールを含む餌を与えたところ大動脈にコレステロールが沈着し、動脈硬化が発生した為コレステロールが動脈硬化の原因であるとしました。しかし、草食動物の兎はコレステロールを摂ることは殆どない為、体内の調節能力がなく、この実験自体が間違いだったのです
マーガリンの危険性がわかってきた!
 マーガリンは液体の植物油を水素添加して固体化したもので、天然に存在しないトランス脂肪酸を産生し、冠状動脈心臓病、クローン病、アレルギー等の原因になるのではと問題になっています。アメリカは含有量の表示を義務化し、デンマークは油脂中のトランス脂肪酸を2%以下に規制しています。日本は摂取量が少ない為規制を見送っていますが、今後世界の動きを見ながら規制の動きは出てくると思います。実は乳脂肪にもトランス脂肪酸は入っています。牛の第1胃内の微生物が、不飽和脂肪酸を水素添加してトランス脂肪酸を作るもので、マーガリンの有害なトランス脂肪酸とは違いますので誤解しないで下さい。
発酵乳・ヨーグルトはヘルシー!
☆整腸作用―腸の中には@善玉菌:良い役割をするビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌A悪玉菌といわれる腐敗菌:ウエルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌などがあります。善玉菌が繁殖するのを「発酵」、悪玉菌が繁殖するのは「腐敗」と言います。
乳幼児期は善玉菌の代表とされるビフィズス菌が圧倒的に多いのですが、年を取るとビフィズス菌が減って、腐敗菌である大腸菌やウエルシュ菌が増えます。結果、発癌物質、細菌毒素等の有害物質が発生して腸管に障害を起こします。血中に移行すると肝臓の障害を起こし免疫を低下させます。ビフィズス菌を補給して、大腸の環境を整えればこれらの問題はかなり改善されるということがわかりました。
☆免疫調節作用―ヨーグルトは花粉症を軽減し、その効果は実証されています。乳酸菌は免疫作用を活性化して癌細胞の増殖を防ぐ抗癌作用、またアレルギー抑制作用もあります。

☆アレルギー抑制のメカニズム
腸管の中の微生物によって人間の免疫細胞は大きく左右されます。免疫細胞を司るリンパ細胞であるヘルパーT細胞(Th1細胞、Th2細胞)のバランスによってアレルギーを起こしたり、感染症に罹りやすかったりするのではないかと言われています。Th1は微生物に作用する細胞。Th2は過剰に化学物質に作用する細胞。微生物が全くいない状態が保たれるとTh1は働く必要がなくなり、Th2が強くなって過剰に化学物質に反応し、アレルギーを起こしてしまいます。アレルギーを起こさない為にはTh1を刺激してやらなければならず、人間は常に無害である微生物に接していかなければいけません。無害である微生物、乳酸菌、ビフィズス菌をお腹の中に飼っていればTh1を次々誘発し、結果、Th2が減ってきてアレルギーを抑制するのではと考えられています。
牛乳は太るんじゃないの?
この答えを言わないと牛乳を飲んでもらえないので(笑)。牛乳コップ1杯は139kcalで1日のカロリー所要量のわずか6.8%、これでCa所要量の37.2%、蛋白質の12.4%を摂ることができるのです!その意味では非常に効率的であると思います。
牛乳の摂取率と体脂肪率の関係で中高生の女子を対象にした実験データがありますが牛乳を沢山飲んでる人は体脂肪率が低いんです。体重は変らないが筋肉質で余分に脂肪がつかない。健康的な体型が維持出来ています。また、牛乳摂取が体格に与える影響を調べたところ、体重は同じにも拘らず、身長は高かった。即ち太っていないことになります。牛乳は高カロリーというのは誤解なのです。では何で太らないのか。Caを多く取ると体重増加率が低くなり、乳脂肪中の共役リノール酸は肥満防止効果が、また乳糖は食欲を調節するメカニズムを持つ可能性があるとわかっています。牛乳中の蛋白質の消化分解物であるペプチドは節食ペプチドといって、食欲を抑えるという説もあります。皆さんが心配されるほど太ることはない!ようです。
まとめ
牛乳、乳製品は単なる栄養補給という意味から更に今多くの機能性が発見されています。牛乳、乳製品を通して皆さんの健康に寄与していきたいと考えています。
会場でのQ&A
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Q1
 牛乳はいつ飲むのが一番良いのでしょうか?

A1 いろいろ説があります。朝効率よく朝食を済ませたいですよね!牛乳は87%が水分で、トマト・椎茸・人参など大半の野菜よりむしろ水分が少ないくらいです。200gの人参を食べようと思うと大変厳しいですが、200mlの牛乳を飲むことは一瞬にできます。手軽な朝食という意味では朝飲むことをお勧めします。但し、夜に飲む事も非常に重要で、カルシウムには鎮静作用があって、睡眠をとりやすいという事もあるので、夜飲む効果もあります。
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Q2 牛乳を温めて飲んでいますが、栄養価はどうでしょうか?

A2 栄養価自体は温めても変わりません。牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人(乳糖を消化できない人もいるといわれていますが)の大半は、冷たい牛乳をいっきに飲んで下痢をしてしまうことが多いようなので、むしろある程度温めていただいたほうがいいと思います。よつ葉ノンホモ牛乳は細菌数の少ない最高品質の生乳を使い72℃15秒の殺菌をしているので、温めすぎには注意しましょう。
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Q3 ヨーグルトを多量に食べているのですが、そのままだと冷たいので何か良い食べ方はありませんか?

A3 40℃位に温めても乳酸菌は死にません。生きた乳酸菌は非常に効果的なのですが、死んだ状態でも免疫叢生作用がありますので加熱しても良いでしょう。
ヨーグルトは単体で温めるとホエーが分離してくるので、タンドリーチキン、ヨーグルトケーキ等の料理に使っていただくのが良いと思います。
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「食べてはいけないアメリカ産牛肉」
2005 11/8日進市民会館 11/9中小企業センター 石黒昌孝さん
05年6月、調査団としてアメリカを見聞した記録と、BSE対策のひどい実態や、牛の他にエルクやミンクの伝染性海綿状脳症の事例などの迫力あるVTRを鑑賞後に、アメリカと日本の実情をお聞きしました。
日本のBSE対策は世界に誇るもの
日本は01年9月千葉で最初のBSE牛が見つかり、直ちに食物連鎖をシャットアウトすべく消費者にBSE汚染肉は入らないように、国は4つの対策をとりました。
@ と畜場に入る牛は、全部キチンと検査しています。
A 特定危険部位(脳、脊髄、眼、扁桃、回腸遠位部等)除去して全部焼却処分しています。
B これまで飼料として牛に与えていた牛の肉骨粉を焼却処分にして牛には与えないようにしました。
C 牛の耳に札を付けて、トレサビリティー(何処でいつ生まれて、どういう餌を食べてどう育ったか)を小売店まで生産履歴がきちんと分かるようにしました。
これは、世界でも誇るべき対策です。このまま続けていけばBSEはなくなって、清浄国になります。カルフォルニア大学のプルシナー先生は(BSEの感染原因の異常プリオンを発見してノーベル賞受賞)日本の対策は非常に優れてると絶賛しています。
ひどいアメリカの検査体制
アメリカでは最初のBSEは2003年のクリスマスに発生しました。カナダから来た乳牛です。ジャックランバートという次官は「アメリカの対策は、発生以前は2万頭しか検査していなかったのが、37万頭に増えた」と言っていますが、年間3500万頭の全と畜の1%に過ぎません。生産から販売までしている大企業が自社で検査しているのが実態ですから、検査対象の牛も検査結果も公平とはいえません。一応アメリカの基準では、検査対象はダウナー牛(神経症状のある脳がスカスカになってフラフラしている牛)です。『危ない牛は検査をしない』というのがアメリカの体制です。検査官も数が少なくて、企業の説明だけを聞いて帰ってくるので実態は闇から闇です。
アメリカに実態調査に行った時、省の担当官に「検査の牛を選ぶ基準は」と聞くと、「テロの対象になるので公表しない」との答えでした。

☆アメリカの検査法にも問題あり
日本の場合、1000倍ぐらい感度が高い検査法ウエスタンブロット法(WB法)を採用しています。陽性に出た牛の半分ぐらいは健康そうに見えた牛でした。検査したら陽性に出たのです。
WB法は感度が上がっています。日本もEUも採用しています。アメリカのBSE陽性はこれまで2頭出ています。特に2頭目
は最初の検査では、シロとされたのをWB法でやっと分かってBSEということになったのです。
アメリカは、検査をきちっとやる気がないのが実態です。
特定危険部位の除去がきちんとできているか疑問
特定危険部位(SRM)というのは、脳・脊髄・眼・扁桃・回腸遠位部等で、プリオンが貯まりやすい部位です。アメリカでは30カ月齢までは全部とらなくていい事になっています。月齢判断は、永久歯になるのが30カ月齢位だということを目安にしています。個体差もあるので怪しいものです。脊髄の取り除き方も問題で、米国農務省は、大丈夫だと言っていますが、脊髄液が肉にかかったりするのは非常に危険です。20カ月齢の判断も、「肉質で、見て触った感じで判断する」と言っているがナンセンスです。
全頭検査をアメリカもやるべきです。ニューヨークタイムスも食肉検査の労働組合も上院議員も言っている。プルシナー先生も言っているのに、農務省は、大丈夫だと言ってやらない。食肉検査官が査察に行くと、企業の監視員がいて案内するだけです。
肉骨粉の飼料からの隔離も不十分
日本ではSRMは焼却処分しています。アメリカでは97年に牛には禁止になっているが、ちゃんと守られていません。鶏・豚・馬の餌にはOKです。実際には『反芻動物には与えないで下さい』という注意の表示のみなので、交叉汚染が心配です。
また、タンパク質や脂肪を与えないと短期間で太らないので、肉骨粉や合成ホルモンが使われているのです。
仔牛の代用乳に牛由来の血粉を与えています。
イギリスを旅行した人は、輸血できないですね。そのくらい血液は危ないのですが、アメリカでは、牛に血粉が与えられていますね。肉骨粉、飼料規制という意味では対策不十分です。
不自然な牛の育て方も問題
遺伝子組み換えした成長ホルモンを使って、14カ月齢位の若い牛を600kgぐらいに急激に大きくするのですが牛肉にはまだホルモンが残っている。ヨーロッパの国々では、アメリカの牛はホルモンが残っていて、ガンになったり末端肥大症になったりするといってアメリカの肉は買わないですね。10歳の男の子のおっぱいが大きくなったりする。太らせるために、牛乳がたくさん出るようにホルモンを使っていますが、日本は使っていません。
変異型ヤコブ病が隠されている
アメリカではアルツハイマーで死亡する人は年間5万人とも言われていますが、少なくとも2人はBSEによるヤコブ病でした。実際ヤコブ病で年間300人死亡しています。
ニュージャージー州の競馬場のレストランでは、危ない牛肉をミンチにして安いハンバーグを出していました。集団的に20代から40代の若い人たちにヤコブ病(*)が発生しており、BSEが原因ではないかとの疑いがあります。
日本人の94%は、ヤコブ病になりやすい遺伝子を持っているといわれているので、しっかり対策をするべきです。
*《もともとヤコブ病は百万人に一人の割合で、高齢者(60歳以上)に発症するというのが通例》
☆国民の命を守るこれからの運動が重要
買い手のニーズに応えるのは普通常識ですよね。アメリカにとって日本は色んなものを買ってくれるお客さんです。舌、腸、横隔膜、安くて捨てるようなものまで買ってくれる。大企業(タイソン、カーギルなど)が儲かるだけです。
「日本の消費者が安心して買ってくれるようにするのがいい」と言っている米国の農民もいるのですが、アメリカの色んな状況を見てきましても、安心とは言い難いです。
☆食品安全委員会の審議
10月31日、食品安全委員会プリオン専門委員会の結論がでました。一つはアメリカの特定危険部位除去の線引きになる、20カ月齢の証明をすることができない、アメリカが言っているように、20カ月が特定できて、ちゃんと特定危険部位が除去されると仮定すれば、リスクは少ないということです。管理機関の厚生労働省が確かめて、きちんとできていれば、リスクは少なくなって輸入開始にもなるという結論なのです。11月29日まで国民の意見を聞くことになっています。朝日新聞の世論調査でみても7割の人が輸入解禁に反対で、全頭検査をせよとの強い意見です。世論で押し返すことができるか、これからが攻めぎあいです。
輸入再開の条件として、2人の専門官で、向こうに行って調べるという案で出ていますが、徹底できっこないですね。日本と同
じ対策をするよう、政府、食品安全委員会にもきちっと言っていくことが必要です。
《この講演後の12 /12米国産牛肉輸入解禁となってしまいました》
輸入食品の危険と脅威。農薬汚染などの問題点
鳥インフルエンザ。茨城で発生したのは、弱いものだったが、京都のは、病原性のものでした。東南アジアで発生し、人が亡くなっています。豚やアヒルを介して、人間にうつるとなると、対策が必要です。かつてのスペイン風邪と同様の心配があります。
日本はカロリーベースで食糧の6割が輸入です。私どもで調べたデーターによると、中国から来る冷凍野菜、(ほうれん草、春菊、スナップエンドウ、絹さやえんどう、ゴボウ)から違反の農薬がでてきます。ゴボウは中国で洗って日本に持ってきて、こっちで泥を付け直す。泥は国産ですけど、よく見ると中国産と書いてあります。筑前煮の原料としても、切った状態で入ってきます。
コンビニで売っているのは残留農薬が多いと痛感しています。ジョナサン(コンビニ)の商品でクロルピリホス(シロアリ駆除剤)が出ています。サンクスで売っていた、ほうれん草のごまあえ、ニンジンとシラスが乗せてある「健康第一」と書いてあるのが農薬違反でした。惣菜コンビニで作って売っているのは冷凍野菜で作ったものがほとんどで、これらには添加物・農薬が残っています。海外で安価に作らせるんです。コロッケ18円、から揚げ10円とか。さばのみそ煮を中国で作らせて、冷凍のごはんにいれて最後にシュッとアルコールをかけて、食中毒にならないようにして、途中で腐敗変敗しないようにしてもってくる。
皆さん方はあまり行かないでしょうが、飲み屋の枝豆は冷凍です。これからも農薬が出てくるのが実態です。次に、マックのハンバーガーのパンには農薬のマラチオンが残留しています。
アメリカの映画の話ですが、監督が実験したのが「ハンバーガー、コカコーラ、ポテトフライのセットを1ヶ月間食べ続けたら、どうなったか」。11kg太って、コレステロールが増えてフラフラになった。ジャガイモの中には必ずクロロプロファムって除草剤が入っています。芽だし防止用でかけていますから。
・ペットボトルのお茶にはどこ産のお茶って書いてありません。日本は1万8千トンぐらい輸入しています。残留農薬が心配です。
・健康で暮らせる秘訣といって、骨太牛乳(加工牛乳)には貝殻の粉が入れてあります。それは吸収しないので、分析するとカルシウムが多くても、注意が必要です。
・コカコーラは、コカインの葉っぱ(麻薬)のエキス、コーラナッツと燐酸が入っています。燐酸に体内のカルシウムがくっついて排泄されてしまい、牛乳を飲んでいるとプラスになるが、コーラを飲んでいるとマイナスになって子どもたちの歯はガクガクになってしまいます。
・ポカリスウェットは、粉で輸入した薬品に水と炭酸ガスを入れて作った加工品です。
・蕎麦についている大根やとろろ芋のおろしたもの、ネギの刻んだものは、輸入品です。
素材を選んで食べ物を作るようにしないと、安全な物は食べられません。今、子ども達にアレルギーが増えていて、小学校3年から高校3年まで45%がアレルギーです。アトピー、花粉症、喘息、生活習慣病で、糖尿が出てくる、こわいですね。
原産地が分かる運動を
輸入物に囲まれていて、油と肉の摂取量が多い事が健康を害しています。便利ですぐ出来る物も買えますが、輸入なのかちゃんと調べるのが大事です。
もし、アメリカ産牛肉が輸入解禁で入ってくると、加工品になって出回ったら、原産地表示がないと分からないですね。たとえば、マックのハンバーガーは、パンはカナダ産小麦、肉はオーストラリア産。「日本のものは?」と聞くとレタスくらいです。消費者が選べるよう、原産地表示させていくことが大切ですね。
北海道のじゃが芋には収穫後に農薬をかけることはありません。食べる部分には残らないように工夫されているものを食べる、国産のものを選ぶ事です。
『地産地消という、地元産のもので学校給食を!』との運動が起こりつつあります。子ども達の健康、将来がかかっているのです。ここにこられる方はいいですが、周りの方に拡げていって下さい。健やかな日々が暮らせるよう、これからもがんばっていきたいと思います。
会場でのQ&A
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Q1
 外国から輸入した牛も日本で育てると、国産表示が出来ますか?またそれらのBSEのチェックは?

A1 生きたまま輸入されて、日本で3ヶ月以上経れば国産表示が出来ます。いずれも、と畜する時には日本では全部検査されるので、BSEの点は心配ありませんが・・・
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Q2 アメリカのBSE発生以前に輸入して倉庫にあったものが、関税手続きをして未だに市場に出てきています。03年12月以前のものは返品されないで、串ざし牛タンは04年まで出回っていました。グロス(ス−プ用)は今現在も出回っています。昨春アメリカ牛肉を解禁したメキシコの牛肉類の輸入が急増していますが、迂回して日本に入る事はないのでしょうか?

A2 本来は処分するか、送り返すかをするべきでした。日本で発生した時は店にあったものも回収し処分しました。産地をごまかした業者もありましが。アメリカ産でも現に売られているものまでは回収出来ないというのが厚労省の弁です。内臓はよく冷凍保管しているのが出てきています。
メキシコからの輸入は900何トン、以前はほとんど0だったのが一年の内に増えています。アメリカから経由してくることはないか、だいぶ確かめましたが、実態は分かりません。メキシコはBSE汚染国でないのでよいという事と証明書をつけてくるので、許可していますが、全頭検査はされていません。《厚労省はSRM除去したものを輸入せよと輸入業者を指導しているが・・》 06年1月
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野菜が危ない! 拡がるGMナタネ ―ずさんな安全性審査―
2005 9/12 講師 河田昌東(四日市大学講師)
今日は、遺伝子組み換え(以下GM)問題、その中でもGMナタネが国内のあちこちで自生しているという問題について、お話しします。日本はGM作物を一番たくさん消費していますが、GMナタネの自生が環境問題として、また国内の農業にどういった影響があるかを考えていきたいと思います。
日本は世界最大のナタネの輸入国で、合計するとおよそ年間200万トンになります。その中でカナダ産が160万トン(80%)で、カナダ産は80%がGMですので、ナタネの輸入量全体の約60%がGMの可能性があるという事になります。
ナタネの輸入港は、近くでは名古屋港、静岡県の清水港、三重県の四日市港です。これまで全国の仲間とすべてのナタネ輸入港について『こぼれ落ちによる自生があるかどうか』を調べてきましたが、私たちは四日市港および名古屋港を中心に調べています。ご存知のようにナタネは直径1_くらいの非常に小さい種子ですので、さまざまな港での取り扱いの時にこぼれてしまうという事が容易に想像できます。たとえば、名古屋港に行きますと小麦なども輸入されているわけですが、港の一角に小麦も、小麦畑のようにいっぱい生えているわけです。加工品・食用として輸入されるのですが、それ自体発芽能力があるので、当然芽生えてくるという事です。
いずれこういう問題が起こるのではないかと思っていたのですが、農水省がこぼれ落ちによる自生問題が心配で調査した結果、04年の6月末に千葉県の鹿島港付近にGMナタネが生えているという事を急遽発表しました。われわれは、すぐに四日市港に飛びまして、7月中に四日市港の実態を見たわけです。ナタネは、もともと冬成長して春花を咲かせるもので、7月とか8月の真夏に花が咲いているとは思っていなかったのですが、来年の予備調査という事で行ってみました。ところが、堂々と花を咲かせていたのです。
港では、巨大なタンカーに乗せて小麦やダイズやトウモロコシが入ってきます。埠頭ではアンローダーという巨大な掃除機のような真空ポンプで種を吸い上げ、ベルトコンベアーでサイロに運びます。こういった設備は何処の港でも共通した設備になっています。そしてベルトコンベアーの真下に点々とナタネが生えていますが、コンベアーからこぼれ落ちて生えているのは一目瞭然です。種が小さいので、舗装道路にちょっぴりある土にたくましく生えているというのが、現地を見たものの実感だと思います。花が咲いていないと分かりにくいのですが、輸入のナタネはキャノーラという種類で、カナダで開発された油を採取するためのナタネです。一見キャベツの苗のように葉っぱが青白くてごわごわしていて、在来ナタネとは、ずいぶん違います。在来ナタネはふわふわしてしわがあり、薄黄色い葉なので、慣れれば、西洋ナタネとの違いがすぐに分かります。
GMナタネは港を出て、50km地点まで拡がっていた!
調査結果は地図(右上図)のようになります。埠頭から細い道を通って、国道23号線に出て行くわけですけれども、この道路の両端にも生えています。その後新聞にも取り上げられ、私たちは何回も調査に通って、推移を見守るようになりました。
サイロからトラックに積み込む時、ナタネが出てくる筒が上からぶら下がっており、1回に1トンずつトラックに落とし込み、トラックが10トンならば10回落としてカバーをかけ、運んで行きます。種をどさっと落とす時に、鳩がたくさん群がって食べているから「落ちているんだな」と分かりました。トラックを追跡したところ、松阪の近くにある嬉野市の油工場に運んでいました。港から油工場に向かって、道路の左側にたくさん生えています。それと中央分離帯ですね。油工場から港の方向に向かっては余り生えておらず、非常にまばらな事から、これはトラックの積荷からのこぼれ落ちである事が明らかです。
今年の3月に徹底的に調べようという検査したのですが、世界で一番使われているラウンドアップ(以下RR)という除草剤に耐性を持たせたGM、バスタ(以下LL)という除草剤に耐性を持たせたGMがありますが、港の近辺で自生しているナタネの30〜40%にRR耐性が出ています。港から出て搾油工場まで50km弱ありますが何と約80%が除草剤耐性でした。
GMナタネはたくましく生き残る?!
これは一体どういう事か?ですが、GMナタネが特別強いのか?あるいは除草剤をかけるから非GMのものは枯れてしまって、残るのか?いまだに判然としません。道路公団に伺うと今は、除草剤は使っておらず、手刈りをしている。なぜ沿線に生えているのかは正確な所はわからない。中央分離帯でも花を咲かせているのですが、触ったら手が黒くなるほど真っ黒になりながら、花を咲かせて実をつけています。本当にびっくりするような環境でも生えています。最初港の中は、こぼれるものは全部こぼれて、だんだん減るのではないかと思ったのですが、実は間断無く生えているのです。つまり、ばら撒きながら走っているという事で、とても大きな問題です。鹿島港も80km近い所まであるという事です。
そこでいろんな問題が起こってきています。四日市にうつべ内部川いう川があり、国道23号線と交差しています。ここは春になりますと、本当に美しい菜の花畑が出現します。これは皆菜の花だと思っていますが、近づきますと、足の踏み場も無いくらいにカラシナが生えています。もちろん菜の花の仲間なのですけれども、学名はブラシカ・ユニシアという名前で違う種です。そもそも外来種で、いつの頃に入ってきたのか分らないのですが、いつの間にか日本中の河川敷を席巻するように拡がっています。セイタカアワダチソウのように一旦入ってきてしまうとはびこってしまうという例です。
GMナタネと野菜の交雑は時間の問題!?
問題はそこから発生します。橋の下にはカラシナとGMの西洋ナタネが隣り合わせて生えているのですね。条件が整えば、交配して種をつける事になります。内部川の河川敷はGMナタネとその他ナタネ科植物の言わば混合状態です。何故河川敷に白菜が生えているのか、よく分らないのですが、白菜とカラシナと西洋ナタネが渾然一体として生えているのが内部川の実態ですね。しかもお互い花期が同じで、交配の危険が非常に高いという事です。
さてもう少し南下して20q位でしょうか。鈴鹿市の郊外で、たんぼ田圃の水を引く用水があって、この土手に沢山ナタネが生えていたのです。初めはお百姓さんが田圃の畦に植えたのだと思い込んでいました。ふと心配になって車を止めてこれを調べたら、在来ナタネでなく西洋ナタネで、殆ど総てがRR耐性でした。その根元を倒してみますと、草という感じではなく、ものすごく大きくて太さは32oもありました。田圃の畦ですから、水も肥料も有るので大きく成長し、越年したものと考えられます。
 実は亡くなった丹羽文雄さんは四日市出身の作家ですけども、彼の小説の中にナタネが良く出てくる。だからそもそもこの地域はナタネの生育にとって良い環境で、気候温暖で水とか土壌とか非常に条件が良いという事ではないかと思います。
 私も相当しつこいと思うのですけど、1本のナタネから種の莢を採って、一晩かかって数えたのですが、莢が1,104本ありました。莢に20個位小さい種が入っているので、1株で2万個位の種がつくわけですね。西洋ナタネの重量の40%は油ですから非常によく出来た、油を取るのに適した改良品種です。しかし逆にこれだけ種が沢山つきますと、子孫が拡がって行くのは避けられないので、この場所で世代交代を起こしています。つまりこぼれたものがその場所で発芽し、自立して繁殖していると確認できました。しかし環境省も農水省も、「可能性としてはある」と言っているのですけれども、フォーマルには「今のところ世代交代は無い」という見解です。
余談ですけども、先ほどのGMナタネの種を30粒蒔いてみたのですけど、見事発芽率100%で、大事に育てているとたった1ヶ月位で、蕾がつきました。念の為にGM試験紙で確かめますと、濃い赤いバンドが出て、RR耐性という証拠です。ついいでですけどもこのGM体の遺伝子は、全て優性遺伝子として2本の染色体の両方に同じ染色体、遺伝子が入っていますから何世代経ってもこの性質は受け継がれます。普通ですとメンデルの法則でその子供は3:1に分離するのですが、何代経っても除草剤耐性という遺伝子が受け継がれます。
袋を外してやりますと、蜂が寄ってきて花粉や蜜を漁る。約2ヶ月後ちゃんと種をつけまして、30粒蒔いて何百倍に増えたのでしょうか?ちゃんと種も確保してあります。
港のこぼれ種もモンサントの特許だから回収すべき!?
これも余談ですが、こうして種を採るのは本当はモンサント社の特許権を侵害しているわけです。ご承知のようにカナダの農家のパーシー・シュマイザーさんは、ずっと非GMナタネを栽培してきたのですが、自分の畑に花粉が飛んできて、RR耐性のナタネが生え、GM汚染したというのにモンサント社から訴えられました。「あなたの畑にはわが社の特許であるRR耐性のナタネが生えているから賠償しろ」という裁判を起こされて、結局シュマイザーさんが負けたのですが、意図して植えたのではないので、損害賠償はしなくてすみました。しかし「意図せずに生えたものに対しても開発企業は特許権を主張できる」とカナダの最高裁は認めたわけです。そのようにモンサント社が特許権を主張するのであれば、世界中の港に勝手に生えているナタネだって本来ならば回収する義務があるという事になります。畑に生えたものは損害賠償を請求するけれども勝手に生えたものは黙っているのです。私は意図して植えたのですから、ぜひ訴えてもらって裁判で議論をしたい。(会場笑い)
GMナタネの自生問題で、一番心配しているのは、今のところ港の中と周辺に限定され、点と線ですが、横に広がって面になっていった時には我々の手には負えなくなります。何とかして数年以内にGMナタネを駆除できるようにしたいと思います。皆さんがわざわざGMナタネを植える事は無いと思いますが、知らずに種を採って来て蒔くという事は要注意です。
GM作物の安全性審査、実は楽観論で非科学的?!
GM作物が自生していく事の危険性に対して、政府がどのように考えているのか、皆の協力を得て厚生労働省にGM開発企業が提出した安全性審査申請書のチェックをしました。
申請書は「西洋ナタネ、雑種、カラシナは交配するが、RR耐性なら他の除草剤で駆除できるし、見つければ抜き取ればいいから安全」と大変楽観的です。しかし現実にはカナダで交配がみつかっている、どの除草剤をかけても死なないスーパー雑草が現実にある、政府の言う事は現実からかけ離れています。
安全性審査では、政府は科学的にやっていると言いますが、実は非科学的です。例えばGMダイズをマウスに食べさせる実験で、28日間食べさせて死ななかったが、実はオスは体重が減っていた。でもそれは無視して「大丈夫だ」という結論です。ナタネの実験だとマウスに食べさせる期間はたった7日間、それで変化がなかったので、認可してしまっています。食品、医薬品の安全は急性毒性、慢性毒性、次世代毒性まで含めて考えなければいけないのに、GMの世界はそこから大きく乖離していて、これで安全性が確保されるのか、大変に心配です。
 最近分った事ですが、GM作物の作る蛋白質の中にスギ花粉や家ダニ等、アレルギー物質と共通の配列を持っている可能性があるというので注目されています。家ダニのアレルギーで、家の中を徹底的に掃除してきれいにしているはずなのに『ナタネを食べたらアレルギーが起きた』という事が理論的に起こりうるわけですね。食品としての安全性については、安全性審査の段階で厳密なチェックはされていないので、やり直す必要があるのではないかと私は思っています。
狂牛病が問いかけたもの
2005 3/15(札幌講演)
講師 青山学院大学理工学部 化学・生命科学科教授 福岡 伸一さん
「もう牛を食べても安心か」と問われたら「安心ではない」と答えざるをえません。国産牛肉なら一応安心ですが、輸入牛肉の安全性は、確保されていないと言わざるをえません。狂牛病が問いかけている問題は多岐にわたり、表層的なレベルでは牛丼が食べられないとか、食べたいとかですが、底の方では食べるということはどういうことか?食物と生命の関連はどういうことかということを問いかけているのです。
生物は生きていく上で細胞の中で代謝回転が必要で、いろんな事をして熱を発生し体温を保ったりします。また生物は分子のレベルでものすごい回転をしていて、3ヶ月ぶりで会った友達とあなたは、骨・臓器・脳細胞のレベルに至るまで全ての分子が代謝回転し入れ替わっています。1940年代にその事に初めて気づいたのはシェーンハイマーというアメリカの若い科学者でした。食べ物をカロリーで表すと数字になりますが、中身は蛋白質・脂肪・炭水化物など全部分子の集まりです。彼は食べ物の分子一つ一つに標をつけ、ねずみに与え、その分子がどこに行くか追跡する実験システムを考えました。もし標をつけた分子が単にエネルギーだけであれば全部燃やされて熱になり、炭素か水素か酸素になり、出て行ってしまうだろうと考えました。ところが実験では、瞬く間にありとあらゆる臓器に取り込まれ、ねずみを形作っているすべての細胞や組織の分子と入れ替わったのです。それと同時に今までねずみを形作っていた分子は速やかに糞や尿や毛や呼吸の中に混じって出ていきました。体が外界と区別されて存在するという実感はある意味幻想で、分子の実態からみると分子がある一瞬淀んでいるだけのゆるい集合体でしかないと、彼は新しい生命観をうちたてました。これは環境や食の安全性の問題を考える時、最も基盤に考えるべき生命観だとわたしは思います。
あらゆる部分の分子レベルの連鎖というのは、バランスの上にあり、動的平衡状態にあると彼は言っています。動的平衡状態にあるのに局所的な加速を行うと、一見効率が上がっているように見えて、余分なエネルギーなどのつけがたまってしまう。狂牛病も実は動的平衡状態が壊れたもので、人へも感染しました。本来種をこえた病気の伝播は起こり得なかったのですが、草食動物の牛に牛や羊の死体をリサイクルした肉骨粉を食べさせ、食物連鎖を塗り替えて肉食動物にしてしまったことで加速がおき、人為的な組換えの経路によって種の壁を超えてきたわけです。
狂牛病は何故起こったか?
狂牛病は1985年頃イギリスで大発生していました。狂牛病は約5年の潜伏期があるといわれ、80年代初頭に汚染された餌を与えられたのが出発点ではないかと思うのです。肉骨粉と呼ばれる人工飼料の中に、狂牛病で死んだ牛やスクレイピー病で死んだ羊が紛れ込んでいたのではないかといわれています。一度現れた狂牛病はリサイクルするので、負の連鎖が広がっていき、90年代ぐらいまで一年間に一万頭を超える大ピークを迎えてしまったのです。そもそも肉骨粉を与えることは草食動物の習性を組替えて、肉食と共食いの一種人為的な経済的加速なのですが、80年代にもう一つの人為的な加速が行われていたわけです。肉骨粉を造るレンダリング産業は、80年代に原油価格が高騰したため、経費節減のため時間を短く加熱温度も低くしてしまいました。イギリスでは肉骨粉を、牛や羊の反芻動物に与えることを国内のみ禁止し、だぶついた肉骨粉は国外のフランス、そしてアジア、カナダ、アメリカに輸出されたのです。これはイギリスの国家的犯罪です。日本は取り立てては対策を講じていませんでした。
 96年になってイギリスで、もう一つの事件が起こります。イギリスは一貫して「狂牛病にかかった牛を食べても『種の壁』により人間に移ることはない。スクレイピー病は羊から人には移ってこなかった」という楽観論を唱えていました。ところが、狂牛病の病原体プリオン蛋白は、ウィルスや細菌のように可変性があり『種の壁』を超えて、人に狂牛病が現れてきたのです。特に狂牛病からのヤコブ病を「変異型ヤコブ病」と呼びますが、この患者が急激に増えました。現在151人の患者がいます。
日本では、肉骨粉の使用自粛勧告が、農水省から畜産担当部局に出ただけでした。96年に変異型ヤコブ病の発生状況調査が行われ、脳外科手術の際の硬膜移植による薬害ヤコブ病患者が多数いることが分りました。
同じような事が狂牛病対策にもありました。イギリスではずっと狂牛病が続行しており、ヨーロッパ諸国がほとんど汚染国になった以降も、日本は肉骨粉製品・牛脂・骨・ゼラチンなどの危険な牛由来製品を輸入し続けていました。問題の重要性が認識されたのは、狂牛病第一号が千葉県で発見されたときでした。当時はパニックに陥りましたが、迅速に徹底的な対策が執られました。
1/全頭検査(24ヶ月以上の死亡牛も含む) 2/危険部位の除去
3/肉骨粉の使用自粛 4/トレーサビリティの管理
 これらを徹底する事により日本は安全を確保しています。科学的にもこれらの管理を徹底する事に大事な意味があります。
 2003年暮れ、アメリカでBSEが発見されました。日本は全てのBSE発生国から牛肉の輸入はしないことになっているため、アメリカからの牛肉の輸入を停止し現在まで続いています。
日本とアメリカの検査体制はどう違うか
 アメリカには1億頭の牛がいて、年間食用になる牛の1%以下の22万頭しか検査されていません(注)。日本ではウエスタンブロット法で1次検査を行い、陽性の場合2次検査で精密検査をし、そこで陽性ならBSEと認定します。アメリカの検査法はエライザ法が主です。脳をスライスして顕微鏡で見る検査法で、見る人の主観や検査する場所により左右されてしまいます。
 特定危険部位の除去については、日本では全ての年齢で行っています。アメリカでは、30ヶ月以上の牛から、脳、脊髄を除去し、若齢牛からは扁桃と回腸のみを取り除きます。
 肉骨粉の禁止については、日本では特定危険部位は焼却処分されます。しかし、アメリカはいまも肉骨粉が作られており、30ヶ月以上の牛の特定危険部位も肉骨粉ルートに入ってしまいます。ただし牛、羊に与えることは禁止されています。しかし鶏・豚・魚類には与えているので、間違えて使ってしまうことや、工場のラインで相互に混入してしまうことなど容易に起こり得ます。肉骨紛は、使用を停止しなければ狂牛病対策になりませんが、それを今でも続けでいるのです。
(注)アメリカのBSE検査頭数は様々な数字が発表されており、総と畜数
3600万頭中2万頭(0.05%)であるとか、実際には600頭との説もある。
 トレーサビリティについては、アメリカは全くありません。年齢を見極めるのに目視による肉質検査で行うとの事です。アメリカの対策というのは全く不十分である事が分かります。
アメリカとの比較で、日本の対策は確かに圧倒的に良いのですが、そうとはいいきれません。全頭検査を見直して20ヶ月以下の牛は検査しないとか、全頭検査を止めようとしています。しかし、21ヶ月23ヶ月という非常に若い牛が見つかった事実は、全頭検査をしていたから初めて分ったことです。鋭敏な検査で調べれば、若齢牛でも十分検出できるはずです。この事実はむしろ20ヶ月以下の検査を続けるべきであるということを示唆しており、これ以下の牛を免除するという論拠にはなりません。
日本の汚染源・・・疑わしい代用乳
全頭検査の意義としてもう一ついえることは、日本では肉骨粉を与えた事で狂牛病になった明確な例がありません。別の汚染源として、一番疑わしいのは代用乳です。子牛が生まれて初乳はお母さん牛が与えますが、1週間ほどで代用乳に代えます。脱脂粉乳・血漿蛋白・油脂などを混ぜて作られる人工乳で、1例目から7例目の牛は同じメーカーが同時に作った代用乳を飲んでいた訳です。代用乳にはオランダ産の牛脂が使われていました。公式見解では牛脂の純度が高く蛋白成分は非常に少なく油に病原体が入っている事は殆ど無いとされています。しかし、8例目から15例目も調べると、1996年初頭に生まれた牛は同じ代用乳が飲まれていて、確率的に見ると代用乳の疑いは強まりこそすれ薄れてはいません。日本では本当の汚染源が何なのか、感染ルートも感染の規模も分っていません。研究者によっては日本は肉骨紛停止により狂牛病対策は終了していると言う人もいますが、肉骨紛由来でない狂牛病が出つづけている事実を見ても、汚染源・ルートを突き止めることが大事で、全頭検査を維持していく以外これらを究明する方法が無いのです。全頭検査を止めて特定危険部位の除去のみでも食の安全は確保できません。100%徹底される訳ではないからです。
実は病原体は先ずリンパ組織に続いて扁桃腺・回腸に取り付き汚染部位になるのですが、リンパ組織から拡散し全身に薄い濃度で広がって増殖を繰り返しています。30ヶ月齢以上になると脳・脊髄に溜まり再び扁桃や回腸に降りてくるという動きをします。だから危険部位は99%除けても100%安全とはいえないのです。特定危険部位除去だけに安全策を頼るのではなく、全頭検査を更に進め感度の高い検査を開発すべきです。国は向こう3年間は全頭検査に予算をつけるそうですが、3年過ぎたらどうするかが問題になります。国際獣疫機関で定めている規則では完全な対策を徹底し、最後に狂牛病が現れてから7年間発生しなければ清浄国に復帰したと宣言してよいことになっています。3年継続して、ある時点から狂牛病が現れなくなったとして、その時から更に7年間全頭検査を維持して何事も起こらなくなった時に初めて全頭検査の見直しを考えてもいいと思います。検査にかかる費用は約30億円。1回の検査に2000円位。食の安全にこれ位の税金を使うのは当然だと消費者は認めると思います。
最近食をめぐるリスク論が言われるようになったと思うのですが、私は安易にリスクの考え方を食の安全性に持ち込む事は危ういことだと思います。プリオン調査会のレポートでは狂牛病で死ぬ人は0.1人から0.9人だと推定しています。交通事故などに比べ犠牲者が少ないから予算をより大きなリスクに向けるべきだと言うのがリスク論で、限られたお金に優先順位をつけるために考え出された物です。リスク=損失とベネフィット=利益は表裏一体になっていて同一者が引き受けるからみなが納得する。しかし、狂牛病は安上がりに餌を作ろう、危ない肉骨粉を海外に売っちゃえというふうに、ベネフィットを抜いてリスクだけを消費者に引き受けさせるという不均衡があります。
100%安全な物はないですけれども、そこにあるリスクが何処から来たかによってその重さも不公平さも違ってきます。食の問題はグローバリゼーションの世の中でリスクとベネフィットが乖離しやすいので、リスクが何処にあるのか見抜かなければいけないと思います。
質疑応答
Q
発症のメカニズムがよくわからないんです。個体差もあるのか、異常プリオン化してしまうのを、速度を緩めるとか止めるものがあるのか、知りたいのです。
A
 何が異常プリオン蛋白質の増殖の速度をコントロールしてるかは、ほとんどわかっていないのです。例えば、羊のスクレイピー病の脳をネズミの脳に注射します。ネズミはスクレイピー病になるのですけれども、第一世代は非常に長い潜伏期を経て、スクレイピー病になります。そのネズミから脳を取り出して、第二世代に打つと、潜伏期が短くなっていきます。種の壁を超えるのに時間がかかるわけですが、一種の淘汰が起きて、新しい宿主に、適応すると、だんだん潜伏期が短くなってくると考えられています。
Q
イギリスでは10年以上前に肉骨粉を与えるのをやめているのに、いまだにどんどん出ていますよね。感染の原因は肉骨粉の他になにか考えられる事があるのですか。
A
あくまで私個人的には代用乳が1番疑われる原因だと思います。輸入の動物性の飼料原料用油脂や血漿蛋白は有力な汚染源だったと思います。北海道でもかなりの割合で、代用乳をまだ使っているわけですね。動物性油脂は植物性に切り替えが進んでますけれども、安い代用乳ではなく、母牛の乳を飲ませることはできないかと思います。
Q
代用乳の牛脂ですが、プリオンは蛋白だから脂は大丈夫と聞いたのですが、どうなのか教えて欲しい。
A
 レンダリングのプロセスでできる脂を代用乳の原料にした事もあるそうで、当然汚染されています。脂を抽出すると蛋白質はほとんど残らず、残さに0.何%というレベルでは入っていて、汚染源の可能性がある訳です。もう一つ非常に大事なことは、プリオン蛋白質は実は脂でできたしっぽがついていて、場合によっては脂にも溶け込める能力があるという説もあります。代用乳に使われた油脂はもうちょっとちゃんと研究しなおす必要があると思います。 
Q
このまま輸入が再開された時考えられる事について何かあれば教えて欲しい。
A
外圧に押し切られ、輸入が再開される事は多分必然です。けれども必ずアメリカでさらに狂牛病が現れてくる日が来ると私は思います。今弧発性も含めてヤコブ病の発生数が増加しています。弧発性ヤコブ病の中に狂牛病由来の変異型ヤコブ病の患者さんが混じっている可能性はあります。最終的に人の血液に入ってしまうと人から人へは種の壁が無いので、更にたやすく蔓延していくので非常に問題です。
「高リノール酸油から高α−リノレン酸油へ」
2004 7/6 講師 名古屋市立大学教授  奥山治美さん
 一昔前は動脈硬化の観点からコレステロール(動物性飽和脂肪酸)の摂取を減らし、リノール酸を増やすと血清コレステロールがさがって動脈硬化・心臓病を予防できるという考えがありましたが、間違っていました。今、ほとんど逆方向に進もうとしています。 
表1 表1(クリックして拡大)
 現在はリノール酸の摂りすぎにより多くの病気が増えているという観点から、健康によいとされていたリノール酸の多いコーン油・紅花油などを減らし、α−リノレン酸の多いしそ(えごま)油などをできるだけたくさん摂取しましょうという方向が出てきています。
体の中の3つの脂肪酸
1.飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸系列
[動物性脂肪・パーム油・オリーブ油・ナタネ(キャノーラ)油など]
人の体で作られ、必須ではありません。 
2. リノール酸系列・・・ω(オメガ)6
[大豆油・コーン油・ごま油・ひまわり油など]
体の成長・生体防御に必須。体の中でアラキドン酸に変わり、ホルモン様物質を作ります。アラキドン酸が過剰に作られると炎症物質を作って、多くの病気を増やします。
3. α−リノレン酸系列(ω3)
[魚油・しそ(えごま)油・ 亜麻仁(フラックスシード)油など]  
魚油に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)は動脈硬化の薬、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、頭の良くなる脂肪酸という事で健康食品に多く入っています。DHAは脳や網膜にあってその働きに必須で、不足すると学習能力がおちるといわれています。(網膜反射能がおちる・切れやすい行動が起きるなどの障害)。EPAからも炎症物質はできるが作られにくく、又作られても活性は弱い。α−リノレン酸を増やすと、炎症を起こす反応を押さえることができます。
表2 表2(クリックして拡大)  油の消費量は1960年ぐらいからリノール酸系油は健康によいと増えてきました。α−リノレン酸系は増えていません。1960年以降のガンの死亡率を見たのがこの表です。胃・子宮ガンは減る傾向にありますが、肺ガン・大腸ガン・乳ガンは増え、既にアメリカのレベルを超えています。動物実験では、すべてに対してリノール酸が促進することが分かってきています。ω3(α−リノレン酸系列)は、これを抑えることが証明されています。
 リノール酸からアラキドン酸になりますが、アラキドン酸から炎症物質(プロスタグランディンetc)が多くできるとガンになることが証明されています。リノール酸を減らして反応を抑え、ω3系の脂肪酸(α−リノレン酸が多いしそ油や魚油)を増やすと、多くのガンが抑えられることが証明されています。
表3 表3(クリックして拡大)
 今までの話は動物実験の研究で、ヒトでの研究は遅れていますが、少ない臨床の研究では、各種のガンの患者にEPA・DHA(魚油)を5g、抗酸化剤としてビタミンEを加えて与えると、副作用がなく延命効果があります。多くの制ガン剤には副作用があり、本当に制ガン効果があるのか、専門家が議論している段階です。
 サントリーの健康食品“アラビタ”はアラキドン酸とDHAを1:1に混ぜた物で、アラキドン酸を0.2g摂ることになります。日本人の1日の摂取量が0.2gなので、あわせて倍の量を摂ることになるため、サントリーに対して危険であり、ガンを増やす事になると忠告しましたが、まだ売っているようです。
表4 表4(クリックして拡大)  表4は、ガンと脂肪酸のかかわりを考えたものです。今までは「放射線」「紫外線」「焦げたもの」などが、遺伝子障害でガンを引き起こすので、出来るだけ減らすことが大切と考えてられてきました。 しかし最近は違います。例えば、アスベストは体の中に入っても溶けませんから直接遺伝子障害は起こしませんが、体の中に入ると炎症が起こり、慢性化するとガンになりやすいことが分かってきました。
 また、胃ガンの原因としてヘリコバクターピロリ菌による炎症、肝炎ウィルスによる慢性肝炎など、遺伝子障害がなくても炎症が続くとガンになりやすいというのが認められるようになりました。炎症細胞から活性酸素が出て、この活性酸素が遺伝子を障害し、増殖促進因子になりガンができる。この辺を抑えればガンが抑えられます。血液のコレステロール値が高い人は、ガンの死亡率が低い。コレステロールが高いとそれ以上コレステロール合成をしなくて良いので、プレニル中間体が働かないため細胞増殖性刺激が抑えられて、ガンが少なくなる。こういう説明が可能です。
 アレルギーも非常に良く似た話です。アトピーは、この半世紀位の間に、数倍に増えたといわれます。アレルギー反応とは、アレルゲンが体の中に入り、いろいろなアレルギー反応を起こす物質(ヒスタミンなど)ができることです。リノール酸からアラキドン酸を通ってできる炎症メディエーター(伝達物質)が出来るのです。ロイコトリエンC・Dの活性はヒスタミンより1000倍以上強いといわれます。ヒスタミンの作用は一過性ですが、こちらのほうは持続性が強く、α−リノレン酸系列は、炎症メディエーターの生成を抑え、EPAが増えると、さらに抑制されます。普段からリノール酸を減らし、α−リノーレン酸を増やしておくような体質改善をしておくと免疫担当細胞のアラキドン酸が減ってEPAが増え、同量のアレルゲンが体の中に入っても、体の反応性が弱くてすむ事になります。アトピー患者に、マーガリン・マヨネーズ・ドレッシング・お菓子などの食品からリノール酸を含む油脂を除去し、しそ油だけを使うよう指導しました。リノール酸もα−リノーレン酸も、すべて食べ物由来なので、体のすべての細胞バランスが変わり、アトピーの皮膚炎の面積と重傷度のスコアと抗酸球が下がるなど、比較的良い結果が得られました。
表5 表5(クリックして拡大)  母乳中にある総脂肪酸中リノール酸の割合です。リノール酸は子供の成長に必須ですが、母乳は母親が何を食べるかにより大きく変化します。欧州のリノール酸の摂取量は8%。必須量は2%くらいなので、日本人のリノール酸も下げることが望ましいのですが、日本の粉ミルクは、リノール酸の含有量が多く、離乳食はさらに多くなっています。
 日本の赤ん坊は、おなかの中から離乳期までリノール酸大過剰の中で育っています。このままでは、アトピーは減りません。ガンとアレルギー過敏症は、リノール酸・アラキドン酸と非常に関わりがあると話してきました。他にも、動脈硬化・さまざまな難治性の病気も脂肪酸がかかわっている確率は高いと思われます。
 岐阜大学の先生の研究ですが、大腸前癌細胞数をみたとき、しそ油の数値と比較し、リノール酸の多い紅花油が2倍、オリーブ油は4倍増やします。またこの数値をしそ油が抑えるというデータがあります。
 脳卒中ラット(血圧が非常に高くて脳出血を起こしやすいネズミ)に食用油を与える実験をしました。魚油としそ油はネズミの寿命を延ばします。大豆油などは1割くらい減らし、月見草油・キャノーラ油などは寿命を非常に短縮させます。
表6 表6(クリックして拡大)
表7 表7(クリックして拡大)
表8 表8(クリックして拡大)
 他にキャノーラ油はダイオキシンと非常によく似た内分泌撹乱物質があるということがわかりました。これは厚生省に報告しています。植物油に部分的に水素添加し、あまり硬くならないうちに止めますと植物硬化油(マーガリンなど)ができます。マーガリン・ショートニング・コーヒーのクリームの使用が先進国では増えていますが、植物原料というのは何を指しているのか分かりません。水素添加してできたトランス型脂肪酸は体に悪いです。脳卒中ラット生存率を見ますと硬化大豆油は寿命が短くなります。ラード・ラードとシソ油の混合物・特にバターは非常によろしい。こういう観点からもマーガリンは危険です。今はやりのエコナは、食べた後血中の中性脂肪が上がるのが少しゆっくりになって、長期に与えると、内臓脂肪が減るという事で特定保健用食品になっていますが、あるデータによると開始後8週後で他の油と下がり方で全く差が無い。しかもエコナは原材料の半分以上がキャノーラで、リノール酸を4割も含みますので、お勧めできません。国はこういう事が分かってきても 取り消すことはしません。
表9 表9(クリックして拡大)  天然の抗酸化物質は体に良いと知れわたっていますが、発ガン性がある物もあります。ゴマの抗酸化物質セサモールも発ガン性があります。βカロテンですが一日28mg与えてみると、腸ガンと前立腺ガンが増えてしまいました。現在健康食品に抗酸化物質が含まれている物がどんどん増えていますが、抗酸化作用があるからと言って、これがいいということにはなりません。
 以上のような事から心臓病・ガン・アレルギーを予防するためにはマーガリン・マヨネーズ・お菓子などからのリノール酸の摂取を極力減らし、α−リノレン酸系とEPA・DHA の油を増やして下さい。、糖尿病のような人はエネルギー過剰になりやすく体に蓄積しやすいので動物性脂肪は控え目に制限して下さい。 
表10 表10(クリックして拡大)  お菓子をやめて、果物に変える食生活にしていかなければなりません。お魚類はよろしいし、牛・羊は反芻胃を持っているのでリノール酸をつぶしてしまい、含有量が少ないのでお勧めです。 ニワトリは餌次第です。こういう事からリノール酸を減らすのがいかに難しいか、逆の面からいえばリノール酸をいかにたくさん食べているかがわかります。以上、これが多くの病気の現況です。
コレステロール値は高いほど長生きする
2004 7/6 講師 富山医科薬科大学 和漢薬研究所 浜崎智仁教授
 今日お話するのは、コレステロールの話です。結論から言いますと、コレステロールは高くても大丈夫なのです。それと肥満よりやせている方が良いというのはウソですが、どうしてなのかをご紹介します。実は私の専門は魚の油で、その面白い話がありますので、それもご紹介します。
『コレステロールは高いと危険』というデータはウソ!
 血中コレステロールは、普通220mg/dl以下がいいというのが、日本動脈硬化学会の言っている値です。しかし、コレステロールは高いと危険という時に問題にしなければならないのが、家族性高コレステロール血症という病気です。この病気はコレステロールが高くて300を超えており、普通の人より十倍、数十倍、心筋梗塞になりやすいのです。この病気の人をたくさん集めた集団では心筋梗塞になる率が高く危険となってしまいます。ただしこの病気の頻度は、500人に1人で、0.2%しかいません。
コレステロール値が高ければ高いほど心筋梗塞、狭心症などの心疾患を持っている人の割合が多いというグラフがあります。ところが260以上の人達だけを考えてみますと、その部分では家族性高コレステロール血症の患者がなんと27%もいるのです。普通一般には0.2%しかいない病気の人が130倍も多く入っているんです。家族性高コレステロール血症の人は薬を使っても下げる必要がありますが、99.8%の人はコレステロールが高いのが危険とはいえません。
動脈硬化学会が1997年に出した高脂血症のガイドラインで、最初に出てくるのは、コレステロール値が上がればどんどん危険率が上がるというグラフです(表1)。が、これが合っているかどうか検証した人は、何と日本では2〜3人しかいません。
表1 表1(クリックして拡大)  このグラフはいろいろなデータを寄せ集めたもので、先ほどの家族性高コレステロール血症の患者がたくさん入ったデータやコレステロールの危険性が50%増すように統計処理を変えたデータを載せています。また福田報告というデータが入っていますが、この報告書を読んでも男性なのか、女性なのか、その平均値なのか、どの数字を使って報告されているのかがわかりません。動脈硬化学会という高脂血症に関しては日本で一番権威のある学会ですが、誰も検証しなかったことは本当に情けない話です。お上に近い権威のある人は信用できません。
コレステロールは低い方が危険、早く死ぬ!
次は大阪府の住民のデータで、コレステロール値と総死亡率の関係を示しています(表2)。10年間追跡調査をして160から280までの人が10年間で死んだ率を1としています。正確にはガンになるとコレステロール値が下がるので、最初の2年間に死んだ人は除いています。
女性は、コレステロール値は低い人も高い人も差がありません。280以上でも大丈夫です。男性はどうかというと、280以上だと総死亡率はやや高いかもしれません。が、一番死ににくい人は240から280なのです。おかしいと思いませんか?動脈硬化学会では220未満にしようと言っているのですから。
 じゃあ、動脈硬化学会が言っている、220以下がいいとはどういうことなのか。心筋梗塞を起こしやすいと言っているのですが、心筋梗塞で死ぬ人は13人に1人です。コレステロールは、総死亡率で見る限り、高いほうが安全なのですよ。ちょっと高いから治療しようなんて絶対思わないで下さい。コレステロールが低くても心筋梗塞にはなるのです。コレステロールの低い人を治療した方が、死亡率は低くなるかもしれません。この人たちはガンであるとか、あるいは免疫機能が悪くなって肺炎で死ぬとかの可能性が高いのです。
アメリカの内科医師会でコレステロール検査を受けるかどうかのガイドラインがあります。35歳未満は、遺伝性疾患や心臓病の危険因子を2つ以上持っている場合以外は「受けるな」と言っています。
表2 表2(クリックして拡大)  35歳から65歳はコレステロールと関係があるとされる世代ですが「受けることが望ましい」、65歳から75歳は「検査が必要かどうかの科学的論拠が十分ではない」、75歳以上は「受けることを勧めない」です。しかし私はこれに対しては反対です。75歳以上は絶対受けるべきです。なぜかと言うとコレステロール値は何か重大な病気にかかっているかどうかの良い指標になるからです。
従来の食事指導は間違い!心筋梗塞が2.87倍増えた!
 ある有名なコレステロール学者が監修したパンフレットでは、コレステロールが高い時「避けたい食品」に、『卵』や『海の幸』や『バターを止めてマーガリンに』と言っています。が、これウソです。魚には、EPA・DHAという心筋梗塞を予防する大変いい油が含まれているのです。(自分の研究がまったく無視されて腹が立ちますよ)
この中にもいるのじゃないですかねえ、マーガリン派。バターより安全だと思っています? 逆ですよ。私はマーガリン食べている人には「止めて下さいよ、バターにしてください」って言っています。なぜいけないかというと、植物マーガリンの中にはリノール酸がたくさん入っています。リノール酸は、いい油だと言われていた事もありますが、いろいろな病気を引き起こす元なんですね。エコナって言うのも結局植物油です。リノール酸が4割もある。
 従来の食事指導は、いいものを食べるな、悪いものを食べろということで、心筋梗塞が増えるのです。当たり前です。
 『NIPPON DATA80』で、卵と総死亡率についてみると、食べる量を1日1個から2個食べる人たち、2日に1個食べる人、5日に1個・・の人の割合を見ると、男の人も女の人も卵と総死亡率は関係ないですね。適当に食べてください。
コレステロールが多いから、重要な食品と考えて下さい。いいですか、コレステロールが入っているから止めるのじゃないですよ。コレステロールが入っているから安全なのです。コレステロールの摂取量が減るような食事をして、健康に良いということが分かった研究はありません。たくさん食べたって、肝臓で合成量を抑えてしまうので、関係ないです。というわけで、コレステロールの量で食品を考えないようにしてください。
コレステロールを下げる薬は、ほとんどムダ
コレステロールを下げる薬シンパスタチンで、心筋梗塞、総死亡率がなんと3割も減っています。10年前これを見たときに、よく効く薬だと、喜んでしまったのですね。
日本では2/3が女性に使われているのですが、女性で心筋梗塞を一度も起こしていない場合、コレステロールを下げるのにスタチンを飲んでも効果が無いのです。2/3の9割近くの女性は、無駄にスタチンを飲まされていることになります。
欧米では、日本の2倍以上使っているのですね。肥満率も高い。ガイドラインを作っている専門家は、9人のうち8人が製薬会社から研究費として金を貰っており、信用できません。
痩せてる方が早死に?
 BMI(ボディーマシンインデックス)で、一般に、22がいいと言われていましたが、これはウソです。10年間追跡していた調査で、BMI23から25の人と比べて、他のグループの総死亡率は、どのくらい危険かというグラフです(表3)。
男の人の場合23から27まで大丈夫ですよ。決して22がいいわけではない。むしろ危ない。女の人の場合、一番多いところと少ないところを除けば、差はありません。
 肥満学会ではなんと25以上はかなり危険だと言っています。そんなこと言っているのは日本だけですよ。
表3 表4(クリックして拡大)  コレステロールの話も同じ。220以下にすれば、自分の受け持ちの患者さんも増えて、取引の製薬会社も増えて、自分の研究費も増えて、講演の回数が増えて金が入るのです。BMI28でもいいのに、日本は何故か25以上は危険というのです。そうすると患者さんも増え、製薬会社が儲かるのです。とりあえず、28までは気にしないでいいです。
男はなぜぽっちゃり型が好きか?
 肥満は生活習慣病になってよくないとよく言われます。肥満には2種類、皮下脂肪にたまる場合と内臓脂肪があります。内臓脂肪は男性に多く、腹腔や腸間膜にたまっているもので、比較的早くなくなります。
 女性の場合は皮下脂肪が多く、なかなか減りません。妊娠の時や狩猟時代には必要だったのです。男が狩猟で出かけて3日間帰ってこないと死んでいた、ではいけないわけです。ですから、女性は皮下脂肪を蓄え、狩猟に出た男たちを待つことができる。
 飢餓があるとまず胎児が先に、女性も死んじゃうんですけど、ぽっちゃりさんはカロリー持っているものだから生き残った。その子どもは当然父親に似てぽっちゃりさんが好きで、何千年もそうやってきたので、男のDNAは、みんなぽっちゃりさんが好きな遺伝子に濃縮されちゃったのです。だから、現在生き残っている男性はみんなぽっちゃりさんが好きな子孫です。「やせている女性の方が美人だ」と思っている男性は、突然変異種で、非常にマスコミに影響されやすい人です。  
魚を食べていない人は危ないのでご用心!
 魚の脂は私の専門です。EPA・DHAというのは魚の油の有効成分です。人では特に脳にごっそりあるのです。網膜に半分以上あり、神経と神経の間のシナプスにもあります。神経や脳に関係があります。DHAで頭がよくなるって話がありますね。欠乏しているときは正しいのですが、十分に摂っている人でも頭はよくなりません。知っている人にも「一生懸命DHAのカプセルを子どもに飲ませましたが、やっぱり勉強しないと駄目みたいですね。」と文句を言われました。
イラスト   魚の油は、かなり気分に影響を与えます。大学生にDHAカプセルを飲んだ群と飲まない群で、敵意性を調べました。イラストの吹出しにセリフを入れてもらう。3ヶ月やって、敵意性を持つ割合を出すとDHAの群が下がった。毎年落第の多い病理の進級試験の直前に実験したものだから、すごいストレスなのです。ちょっとの注意で、「うるせー、このやろー!」ですよ。でもDHAの群では、いつもの自分でいられるのです。学生はあまり普段魚を食べていないので、DHAカプセルの効果がわかります。ADHD(注意欠陥多動性障害)の子ども対象でも攻撃性、敵意性は,DHAを摂っているほうが少ないのです。
 自殺未遂の研究では、大連医科大と年齢性別喫煙状況合わせて、200人の赤血球中のEPAを計ってみると、これが少ない最初の50人の中に自殺未遂が38人も入ります。ここでも、魚の油を摂っている人と、そうでない人では、差がでます。
魚を食べないと殺人が多いというグラフがあります。ノルウェーで報告したとき、アメリカ人が1/3以上聞いていました。グラフ上にアメリカが無いので、みんな探しています。どこにいるかというと、天井の向こうずっと上の書けないぐらい高い所です。(笑い)魚の油で行動が変わります。自殺未遂、殺人、敵意性。最初奥山治美教授(名市大)がねずみで実験されたのをヒントに、人間でやってみました。アメリカ人の例で、リノール酸摂取と殺人の関係ですが、リノール酸を食べると殺人が増えちゃう。(笑い)
 結論。 人に会った時、最後に魚を食べたのはいつですかと訊ね、もし、思い出せないようだったら、その人に近寄らない方がいいです。危ないですから。(笑い)
よつ葉のつどいミニ講演会
健康に役立つ牛乳と乳製品
2004 講師 よつ葉乳業中央研究所 片野直哉主任研究員
 私たちは食品を活用して食べることで生命を維持しています。果物・蜜・乳はそのものが食品となります。その中でも子どもを育てるために存在していて、生命をあやめずに食品となるのは乳だけです。
牛乳はどのようにして牛の中で作られるのか
表1 表10(クリックして拡大)  牛は、4つの胃を持つ反芻動物です。このことから、草のみを食べて、あれほどの体を保ち、生きることが出来るのです。

※ルーメンは牧草を分解する発酵タンクとして機能する。10兆の微生物がいる。
 次に牧草がどうして乳になるかというと、牧草を、ルーメン微生物が分解・消化することで発酵し、揮発性の脂肪酸を産生、これが微生物自身の栄養となって、さらに分解がすすみ、小腸で吸収され血液になります。この血液が、乳腺胞という乳房のタンクのような組織で、乳に転換します。
 血液900リットルから乳は1リットルしかできません。乳の源は、血液といえます。ですから、健康な牛でないと品質の良い美味しい牛乳は作りえないということです。我々は、酪農家と協力し、牛の健康管理をして、より良い牛乳を供給させてもらっています。
ノンホモパスチャライズについて
 ノンホモの特徴:乳は、脂肪球が均一に分散しています。その脂肪球は水になじみやすい脂肪球膜におおわれているので、乳の中で安定した状態が保たれています。
脂肪球は、乳の4 %ほどですが、比重の違いから浮いて、クリーム層が形成されます。脂肪球同士は、熱に弱いタンパク質ホエイによって緩く結合しているので、熱をかけすぎると、クリーム層はできないので、細菌数の少ない最高品質の生乳を使い、72℃15秒間の殺菌(パスチャライズ)をしています。
 ノンホモジナイズは、略してノンホモといい、均質化(ホモジナイズ)をしていないということです。ホモジナイズとは、機械で脂肪球の大きさを十分の一に細かくし、クリームの形成を防ぐ操作することです。
 ノンホモパスチャライズ牛乳は、限りなく生乳に近い牛乳です。
牛乳はなぜ白いのか
 乳中のタンパク質の8割を占めるカゼインが粒状(カゼインミセル)で分散しています。カゼインも脂肪球と同じく親水性のタンパク質に覆われているので安定して浮いています。これらカゼインと脂肪球が光に乱反射して白く見えるのです。またカゼインはカルシウム(以下Ca)を多く含みます。
 乳の中の脂肪球とカゼインをとりのぞいてしまうと、牛乳は白くなくなってしまいます。
骨粗鬆症について
 日本では、骨粗鬆症の人が1千万人います。その内の80%が女性で、女性特有の病気といえます。人の骨量は20歳で最高になり、40歳まで一定の骨量を維持し、その後徐々に減り、骨量減少が70%を切ると骨粗鬆症と診断されます。
骨梁骨というスポンジ状の組織が、骨の強度を維持しています。
骨は、常に生まれ変わっていて、骨吸収と骨形成が行われています。ここにCaが大きく関係しています。
 Caは人体に最も多く含まれるミネラルで、体重の2%を占めます。99%は骨と歯を形成し、1%が血液と細胞にあります。
*Ca の99%:骨格・歯の強度維持し、1%の貯蔵源となる
*Ca の1%:血液凝固・神経伝達・筋肉収縮・受精など、代謝にきわめて重要な役割を果たしている。
成人の骨量は、食品として吸収したCaが血液を介して腸や腎臓で代謝され、最終的には排出されて増えることはありません。血中のCa濃度を一定(100ml中10r)に維持して、体のバランスをとっています。8r以下とか12r以上になると死に至ることも・・・骨は、Caの貯蔵源として重要な役割を果たしています。
 血中のCaの調節には、ホルモンも関わっています。
カルシニン(甲状腺で合成)とエストロゲン(卵巣で合成)は、骨形成を促進し、パラソルモン(副甲状腺で合成)と活性型ビタミンDは、骨吸収を促進します。閉経後の女性は、女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、骨へのCaの貯蔵がうまくできなくなり、骨粗鬆症になり易いのです。活性型ビタミンDは、腎臓でのCaの再吸収や、腸管での吸収を促進します。
▽骨粗鬆症を予防するには・・日頃の食事に注意を!
@Caを十分摂取すること。
AビタミンDやビタミンKなど、骨吸収を促進する栄養素を摂取する。
・ビタミンD:魚介類・干し椎茸に含有、日光を浴びることで体内合成される。
・ビタミンK:納豆、野菜類に含有、骨形成に重要な関わりをもつタンパク質の合成に必須。
Bエストロゲンの減少を補うイソフラボン(女性ホルモンと似た機能を持つ)を摂取する。大豆に含有
C十分な運動をして、骨に負荷を与えて骨量の減少を抑える。
骨粗鬆症になってしまったら、医薬品で治すことです。
▽日本人は、何故Caの摂取が少ないのか
食文化の違いから、牛乳や乳製品の摂取量が、海外に比べて少ないこと、また日本の水は、Caなどミネラル分の少ない軟水なので、そこに生育する農作物もCaの含有が少ないことなどが起因しています。牛乳の1日の摂取量を外国と比べてみると    日本:98ml アメリカ:243ml デンマーク:377ml です。
牛乳は、Caが豊富で、他の食品に比べて摂取しやすく、天然のCa吸収促進因子(*裏面)を含み、吸収率も高いのです。
1日の食品摂取でCa量を比較すると、牛乳は一番効率が良く、Ca吸収率は、牛乳40%、小魚33%、小松菜19%です。
コップ1杯200mlの牛乳は、220mgのCaを含むので、所要量の1/3が摂れます。(よつ葉ノンホモパス乳は、244r)

*カゼインホスホペプチド(CPP)とは、牛乳中のカゼインタンパク質が消化酵素の作用をうけて産出されたものです。その働きは、小腸でCaが不溶化するのを防ぎ、乳糖(牛乳中の炭水化物)の腸壁での透過性を高め、吸収率を上げます。

日本のCa所要量は、1日600rから800rにひきあげられる予定です。しかし、アメリカの基準では成人が1000mg、老人が1500mgです。日本人の平均摂取量は、1日550mgですので、まだまだ少ないです。
発酵乳の効用
 起源はコーカサス地方といわれていて、世界中に多種多様の発酵乳があります。ブルガリヤのヨーグルト、ロシアのケフィヤ、グルジアのマツォーニ、スエーデンのラングヒルなどです。牛乳を殺菌して飲むようになったのは、最近のことです。もともと生乳を放置しておくと自然界の乳酸菌によって発酵乳になってしまって、これを摂らざるをえなかったのです。
100年前、ロシアの生物学者メチニコフが不老長寿論で、乳酸菌(ブルガリヤ菌)が体に良いと提唱していたのがブームの始まりです。
▽人は腸内に、多くの微生物(腸内細菌)が存在
腸内細菌は、大きくふたつに分類されます。
・善玉菌:ビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌などで、糞便のPH(ペーハ)を下げ、悪玉菌の増殖を抑える。
・悪玉菌:腐敗菌群(ウェルシュ菌)など、腸内で腐敗して、毒素を出し、発ガン物質を産生する。
ビフィズス菌は、約100年前に発見され、酸素があると生きていけない偏性嫌気生菌なので、酸素が極めて少ない大腸内では存在します。加齢にともない腸内のビフィズス菌は減少し、これによって抑えられていた悪玉菌が増えてしまい、腸内で腐敗が進行します。老化以外にも食生活によっても減ってしまうことがあります。日本食は炭水化物が中心で、食物繊維も多いので、ビフィズス菌が活きる腸内環境は良いのですが、高脂肪食の肉食になると減って、悪玉菌が増えてしまいます。
▽腸内細菌と病気の関係
菌のバランスが有害菌に傾くと発ガン性の毒素が生成され腸管を障害し、大腸ガンのもとになります。また、血中に移行し、内臓にも障害を起こして、免疫機能の低下にともない、痴呆やリュウマチの原因にもなります。
▽発酵乳がどうして免疫機能を高めるのか
小腸は消化吸収器官であって、重要な免疫器官でもあります。栄養を吸収するために、多くの絨毛があって、この間にパイエル板という免疫器官が存在します。ここでは、摂取した食品に含まれる微生物を関知して、さまざまな免疫反応がおきます。
発酵乳を摂るとアレルギーとか花粉症が軽減されるといわれますが、それは、微生物が大量にお腹の中に入ると、パイエル板では、その微生物の対応に忙しくて食品に対する反応が手薄になって、その結果アレルギー反応を抑制することになります。
最近は、抗菌グッズなどが多用されているので、体内に微生物が入ってこないため、逆に微生物への防御力が必要でなくなるため、異種タンパク(食品)への反応が高まってしまい、アレルギーが起こるのではないかといわれています。以上のことから免疫増強や整腸作用がある発酵乳の摂取をお勧めします。
▽新バイオテックスとは
プロバイオティクス⇒食べることで、健康に寄与し、生きた微生物のことです。(ビフィズス菌や乳酸菌)
プレバイオティクス⇒食べることで、腸内細菌叢を改善する食品のことです。(オリゴ糖や食物繊維:消化しにくいので、大腸まで届くと微生物の餌になり、ビフィズス菌や乳酸菌を増やす)

92歳の現役医師、日野原先生は、長寿の秘訣として・・
@ カロリー摂取量を抑える
A 1日コップ2杯の牛乳を飲む
B カルシウムを十分摂る
C 活性酸素を抑える緑黄色野菜やお茶や果物を摂る
ポリフェノール・カテキン・リコピン・アントシアニン・ビタミンCやEなど含有する食品群
会場での質問から
Q1/よつ葉パスチャライズ牛乳(パス乳)で、カスピ海ヨーグルトを作ってみても、うまく固まらないのですが…
A1/ヨーグルトは、牛乳中のタンパク質のホエイを、熱で変性させカゼインに吸着させると乳酸菌の酸で固まります。
殺菌温度の低いパス乳では、ホエイが水にとけやすい形で存在しているので、乳酸菌で酸度が高くなってもカゼイン部分しか固まりません。パス乳を一旦高温にして、40℃ぐらいにさましてから種菌をいれるといいです。でもパス乳は、有用な菌が活きていますから・・固さを出すために、熱を加えるのは勿体無い気がします。カスピ海ヨーグルトを植え継いでいくと、雑菌が入ってしまうこともありますので、できるだけ新しい種菌を、使って頂くことです。

Q2/牛乳は太るからといって、低脂肪乳を飲んでいる人がいますが、カルシウムの吸収率はどうですか
A2/市販のUHT乳は、120℃〜130℃2秒間殺菌がほとんどです。
学説では、熱をかけることで、カルシウムの不溶化を起こします。ただし、UHT乳でも、人の胃の中では、胃酸でPHが下がって、再び不溶化するので同じだともいわれています。しかし、CPP(カゼインホスホペプチド)が、カルシウムの吸収率を高めることは確かなことで、同時にほかの食品中のカルシウム吸収をよくするので、食事時には、牛乳を一緒に飲むといいです。牛乳を飲んで太るということはまったくありません。むしろ、牛乳中の乳糖はオリゴ糖に近い性質を持ちますから、腸内細菌にいい影響を与えます。(ビフィズス菌の餌になるので代謝を高める)          
まとめ
*牛乳は、カルシウムに富み、骨粗鬆症などを抑制する。
*発酵乳は、腸内の悪玉菌を抑え、小腸のパイエル板などを介して、人の免疫調節作用がある。
*腸管は、重要な免疫器官です。
*牛乳を緑黄色野菜などと一緒に摂ることで、体内の酸化による老化を防止する。